【国立科学博物館】 「大英自然史博物館展」 記者発表会レポート

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2017年3月18日(土)から6月11日(日)にかけて国立科学博物館にて開催される、「大英自然史博物館展」の記者発表会が10月19日に行われましたので、その様子をレポートいたします。
 
大英自然史博物館は、1881年に開館しました。世界で最も優れた博物学標本のコレクションを所蔵しており、現在世界中から集められた動植物や化石、岩石および鉱物は8000万点にまで膨らんでいます。また、毎年約500万人が訪れる、イギリスで最も人気のある観光スポットの一つです。
 
世界的にも貴重な「至宝」のコレクションから選りすぐられた約370点を展示します。このうち大英自然史博物館で常設展に出ているものはわずか17点と、大部分が英国でも一般の人が見ることのできないコレクションを見ることができる貴重は展覧会です。

出品される展示物は動植物、化石、鉱物など多岐にわたり、すべて日本初公開を予定しています。また、コレクションを紹介するだけでなく、「始祖鳥」が化石から復元されて大英自然史博物館を動き出すなど、現実では起こりえない驚きの映像をはじめ、さまざまな動画も楽しみことができます。
 
本展覧会の見どころは、
①科学史を塗り替えた学術標本
大英自然史博物館が所蔵する標本の中には、科学の歴史を大きく変えたもの、あるいはその発見に大きな寄与をしたものがあります。それらは、科学の理論にどのように貢献したかを示す証拠としてだけではなく、科学がどのように発展したかということも教えてくれます。
 
②世界への探検が遺したもの
19世紀から20世紀の初頭にかけて、英国の探検隊は世界の各地に出かけて、様々な博物標本を収集しました。その多くは大英自然史博物館に収蔵され、現在でも大切に保管されています。それらの標本は、当時の科学の発展に寄与しただけでなく、現在でもその価値を失っていません。
 
③日本から渡った標本
19世紀後半、日本がオランダ以外の国とも交流を開始した後、来日した英国人によってそれまでは入手が困難だった日本の自然史標本が博物館にもたらされます。日本に自然史研究が未熟だったこの時代、これらの自然物は大英自然史博物館の研究者によって研究されることとなります。
 
④嘘と呪いとミステリー
大英博物館の一部門として出発し、250年以上の歴史を持つ大英自然史博物館の標本の中には、驚くべきエピソードを持つものもあります。そんな標本の存在もまた、この博物館の持つ長い歴史を物語っています。
 
⑤自然史研究を支える書籍や資料
図書や絵画、手記や手紙も博物館の重要な収蔵品です。大英自然史博物館は、100万冊以上の書籍と50万点の絵画資料を所蔵していますが、そのなかには科学史上でも有名な本の原稿や重要は図書、そして絵画が含まれています。
 
⑥博物館の歴史に名を刻んだ人々
ここで紹介するのは、大英自然史博物館の設立や、その後の発展に大きな影響を与えた人たちです。ハンス・スローン卿はコレクションの基礎を作り、リチャード・オーウェルは政府に働きかけて自然史部門を単独の博物館として設置しました。アメリ―・アニングはアマチュアの化石採集者として、博物館に貴重はコレクションを提供しています。


今回展示される始祖鳥についてお話をしてくださったのは、国立科学博物館 標本資料センター コレクションディレクター 真鍋真氏。
「始祖鳥」は、恐竜か鳥類か議論を呼んだ化石。1861年、最初の始祖鳥化石が発見されましたが、それはチャールズ・ダーウィンが進化論の発表によって論争を巻き起こし初めてからわずか2年後でした。
1868年、トーマス・ハクスレーは、始祖鳥によって恐竜と鳥類が進化的につながっていたことを提案しました。部分的には恐竜で、部分的には鳥類という始祖鳥は、進化論の議論の中心的な存在になりました。
始祖鳥は、今から約1億4700万年前に生息していた、小型の肉食もしくは昆虫食の生きもので、現代の鳥類のような翼と羽毛を持っていましたが、歯やカギヅメ、骨でできた長い尾は恐竜のようです。CTスキャンによって始祖鳥の脳が3次元復元されたろこと、始祖鳥は飛行に必要な視覚、平衡感覚、体性感覚を備えていた可能性か高いことが大英自然史博物館の研究者によって明らかにされました。

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日本から英国に渡った標本についてお話してくださったのは、国立科学博物館 動物研究部 研究主幹 川田伸一郎氏。
ニホンアシカは日本と韓国の沿岸海域に生息していましたが、日本ではすでに絶滅したとされています。この標本は1896年に横浜の貿易商アラン・オーストンが大英自然史博物館の哺乳類研究者オールドフィールド・トーマスに送ったものです。博物館のアーカイブにはオーストンがこの標本を入手した時に送った手紙と写真が残されており、この個体が千島列島でアシカ類やラッコの毛皮を求めて無謀な収集を行ったヘンリ・スノーによって捕獲されたことがわかっています。
このニホンアシカが日本に里帰りします。

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イギリスの軍艦チャレンジャー号は、海洋調査船に改造されて、1872年にイギリスを出航しました。そして太平洋、大西洋、インド洋、南極海で生物採集、海底探査、海洋観測を行ったのち1876年に帰港しました。その成果は、50巻にのぼるチャレンジャー報告書として出版されました。
そのチャレンジャー号は日本の横浜、横須賀、神戸にも寄港しました。

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このように大英自然史博物館の貴重なコレクションを数多く見ることができる展覧会となっています。

大英自然史博物館は、伝統的に主要所蔵品の貸し出しを控えてきたため、これが初めての世界巡回展となります。そして世界巡回展のスタートとなるのが、この日本です。どこの国よりも早く貴重なコレクションが見られる展覧会となりますので、開催されましたら是非ご覧になってはいかがでしょうか。


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