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【国立科学博物館】 「大英自然史博物館展」内覧会レポート

2017年3月18日(土)から6月11日(日)まで、国立科学博物館にて「大英自然史博物館展」が開催されます。3月17日に報道内覧会が開催されましたので、展示の様子をレポートいたします。
 
大英自然史博物館-そこは、世界で最も学術的重要性の高い自然史コレクションが所蔵されている場所である。さまざまな分野の8000万点もの標本が保管されており、科学者が地球の歴史を探求するうえで大いに貢献している。また、博物館の建物自体も価値ある文化財である。
 
ロンドンのサウスケンジントンにあるその素晴らしい博物館は、大英博物館の分館として1881年に開館しました。その伝統と自然史に関する数々の貴重な標本や資料をまとまった形で紹介する本展覧会は、イギリス国外で世界初の開催となります。
 
紹介する展示物は動植物、化石、鉱物など多岐にわたり、そのほとんどが日本初公開にして、大英自然史博物館でも一般にはあまり公開させていない貴重なものばかりです。


それでは、展示風景をご紹介します。
 
序章 自然界の至宝 ~博物館への招待~
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タマカイ

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ブラシュカ父子によるガラス模型

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肉食恐竜のカギツメ

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呪われたアメジスト

一歩足を踏み入れただけで、多種多様のコレクションに目を奪われてしまいます。
タマカイや肉食恐竜のカギヅメの大きさに驚き、見事な化石に見入ってしまいます。
中でも気になったのは、呪われたアメジスト。所有者に多くの不幸をもたらしたとされるこの標本は、「これは呪われており、血と、かつての所有者たちの不名誉で染まっている」という手紙とともに大英自然史博物館に届けられました。最後の所有者であるエドワード・アレンは運命から逃れるため、7重の箱に入れて施錠し運河に投げ入れましたが、発見され彼の元に戻されたという逸話がある不思議な宝石です。
 

Chapter1 大英自然史博物館の設立

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ハンス・スローン卿の肖像画の模作 画家、ステファン・スローターによる

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ガラスケースのハチドリ



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古代エジプトのネコのミイラ

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テラコッタ製ライオン

ここでは、大英博物館創設のきっかけともなったハンス・スローン卿の肖像画から始まります。スローンは自分のまわりに広がる世界を理解したいという情熱に突き動かされて、膨大な数の品物を個人的に収集しました。1753年にスローンが没すると、彼のコレクションをもとにして大英博物館が創設されました。そして、大英博物館の自然史部門の標本はどんどん増え続け、1881年自然史部門の分館が開館します。

ガラスケースのハチドリは、1881年の大英自然史博物館設立の際に、館の中心の展示物に選ばれ、この異国の鳥は大いに人々を興奮させたそうです。ハチドリの躍動感が感じられ、当時の人々を魅了したのがわかります。

古代エジプトのネコのミイラはとても珍しいので、見入ってしまいました。また、テラコッタ製ライオンは、1980年代にもっと頑丈なレプリカに代えられるまで、実際に大英自然史博物館の屋根に飾られていた装飾用のライオン像です。
 

Chapter2 自然史博物館を貫く精神

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モア全身骨格

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メアリー・アニングが発見した魚竜

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ベスビオ火山から収集した岩石

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植物学の父カール・リンネや比較解剖学者リチャード・オーウェン、進化論で有名なチャールズ・ダーウィンなど偉大な学者たちの仕事ぶりを物語るコレクションが見られます。

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始祖鳥

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恐竜と鳥類を進化的につなぐ初めての証拠となった「始祖鳥」は必見です。始祖鳥の標本はこれまで10個体ほどしか学術的な報告はされておらず、化石の少なさに驚かされます。
「始祖鳥」の隣では、始祖鳥の標本から自由に動き出していく始祖鳥の映像が楽しめます。
 

Chapter3 探検がもたらした至宝

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ニホンアシカ

19世紀から20世紀初頭にかけて世界各地を訪れた探検家たちは、自然界の信じられないほどの驚異を目にしました。彼らは時には命がけで、地球上の生命の豊かな多様性を示す証拠を収集しました。

本展には日本独自の章、展示物が加えられています。「3.5 日本への探検」では、日本ですでに絶滅したとされているニホンアシカの標本を見ることができます。その他にも世界最大のカニ、タカアシガニの標本や鉱物、日本に落下した隕石もありました。
 

Chapter4 私たちの周りの多様な世界

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サーベルタイガー

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オオツノジカ頭骨

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フクロオオカミ(タスマニアタイガー)

ここでは、昆虫や絶滅の危機にさらされている生物、すでに絶滅してしまった生物の標本を見ることができます。
サーベルタイガーやオオナマケモノの骨格標本の横では、絶滅してしまったサーベルタイガーやオオナマケモノが動き回る映像を楽しむことができます。また、オオツノジカ頭骨の大きさには圧倒されました。
自然によって絶滅したもの、人間によって絶滅してしまったもの…考え深いものがあります。
 

Chapter5 これからの自然史博物館

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モルフォチョウ

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中央:ピルトダウン人の頭骨復元

多種多様な岩石や鉱物、美しい宝石、鮮やかな翅を持ったチョウ、またピルトダウン人の頭骨片と下顎骨などの標本を見ることができます。
大英自然史博物館の科学者は、研究室でこのような特性の翅を持ったモルフォチョウを飼育し、こういった構造色を再現することによって、もっと環境に優しい着色製品の開発につながることが期待されています。

このピルトダウン人の頭骨片と下顎骨は、科学史上で最も悪名の高い贋作事件であるピルトダウン人に関するものです。1912年の発見当時、それがヒトと類人猿をつなぐミッシングリンク(失われた環)であり、ヒトは類人猿から進化したと宣言されることになりました。1950年代になって、大英自然史博物館でピルトダウン人の新たな研究が行われて、頭骨は現代人のもの、下顎骨は現生のオランウータンのものであることが明らかとなり偽物であることがわかりました。これらはピルトダウンの発掘現場に埋められる前に古く見せかけるために着色され、また加工もされていました。
大英自然史博物館は贋作だとわかっても、それを破棄せずにあらたな分析法が解析されるまで保存し、100年後に再鑑定をするそうです。


探検家や偉大な学者たちを虜にし、命がけで収集した数々のコレクション。大英自然史博物館でも一般にはあまり公開されていない貴重なコレクションを見ることができる贅沢な展覧会です。
 
会期は2017年3月18日(土)から6月11日(日)まで。
好奇心・探求心により、人々は色々なものを収集し、研究してきました。そして、これからも続いていきます。
コレクションにまつわる物語に思いを馳せながら、贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。


開催概要はこちら:
https://home.ueno.kokosil.net/ja/archives/12995


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