【東京国立博物館】特別展「茶の湯」内覧会レポート

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2017年4月11日(火)から6月4日(日)まで、東京国立博物館にて特別展「茶の湯」が開催されます。
4月10日に報道内覧会が開催されましたので、展示の様子をお伝えいたします。

 

日本文化の象徴、「茶の湯」。
いまからおよそ一千年前、日本と中国を往来する僧や商人によってもたらされた喫茶の風習は、今日に至るまで長い時間をかけて発展してきました。そして安土桃山時代、日本における茶の湯は千利休の「侘茶」の大成によって、町衆の広い支持、そして深い精神性を獲得して、今日における興隆の礎を築き上げたのです。

本展覧会は、茶の湯を通して日本人が想像してきた美術の変遷を、喫茶の風習が伝来した室町時代から近代に至るまで展観するものです。茶の湯の通史をたどる展覧会は、1980年に東京国立博物館で開催された「茶の美術」以来、なんと37年ぶり。大変貴重な展覧会となります。


それでは、展示風景をご紹介します。

 

 第一章 足利将軍家の茶湯—唐物荘厳と唐物数寄

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展覧会場は黒を基調にデザインされ、質素ながら典雅な雰囲気を醸し出しています。

 

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 宋王朝で主流だった抹茶の新しい喫茶法が日本に伝来すると、主に武家・公家といった上流階級がこれを愛好するようになりました。そして室町時代、権力者たちは舶来の美術品「唐物」を収集し、それらで茶を喫することで、自らの権威を示そうとしたのです。

第一章では、足利将軍家に集められた最高級の唐物コレクションである「東山御物」を中心に、当時の名品の数々が展示されています。

 

国宝 油滴天目【中国・建窯 南宋時代・12 ~ 13 世紀】 大阪市立東洋陶磁美術館蔵

国宝 油滴天目【中国・建窯 南宋時代・12 ~ 13 世紀】 大阪市立東洋陶磁美術館蔵

国宝「油滴天目」。その名は、釉中に浮かび上がる小さな金銀の斑紋が、水に浮かぶ油の滴のように見えることに由来しています。こうした美しい斑紋は、言うなれば「偶然の産物」です。日本人は、このような偶発性が織りなす美を、とりわけ愛してきたのです。

 

 第二章 侘茶の誕生—心にかなうもの

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権勢を誇った室町幕府が斜陽を迎えると、新たな時代の担い手として町衆が力をつけ始めました。彼らは、かつて上流階級の人々の嗜みであった連歌や能、茶の湯などを学び、発展させていったのです。
それによって茶の湯を楽しむ人々の層や場所も変わり、日常の暮らしの中から自らの心と眼にかなうものを見出す「侘茶」が誕生します。

本章では、当時の武人や茶人の眼を通して、時代の転換期に生まれた侘茶の美術を展観しています。

(広報画像 重要文化財 灰被天目 銘 虹【中国 元〜明時代・14 ~ 15 世紀】 文化庁蔵 )

重要文化財 灰被天目 銘 虹【中国 元〜明時代・14 ~ 15 世紀】 文化庁蔵 

重要文化財 灰被天目 銘 虹【中国 元〜明時代・14 ~ 15 世紀】 文化庁蔵

銀色に輝く窯変が生じ、その釉景色から「虹」と名付けられた天目茶碗。足利義政が所持していたと伝えられています。この神秘的な輝きは、なかなか写真では伝わりません。ぜひ、会場でご覧いただきたい一品です。

 

第三章 侘茶の大成—千利休とその時代

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安土桃山時代、千利休によって侘茶は大成され、日本の茶の湯文化はより広く深く、町衆へと浸透していきました。本章の前半部では、まず利休にまつわる道具を紹介し、後半部では「利休没後の様相」として、古田織部、織田有楽斎、細川三斎の三人の茶人に焦点を当てています。

古田織部さんの名前は、大ヒット漫画『へうげもの』でご存知の方も多いのではないでしょうか?

 

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「利休が創造したもの」として、利休が制作させた茶道具が展示されています。利休の茶の真価は、道具の取り合わせの妙にあるといわれます。利休は優れた感性で道具を取り上げ、創造することによって、茶の湯に大きな変革をもたらしたのです。

 

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会場には、茶室の再現模型も!中に上がってお茶を一服・・・することは残念ながらできませんが、撮影は可能とのことです。中には現代作家の須田悦弘さんが制作した精巧な竹の花入れとお花が飾られているということで、こちらも楽しみですね。

 

 第四章 古典復興—小堀遠州と松平不昧の茶

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冒頭で展示されていたような、美しい唐物が会場を彩ります。

この章では、復古的精神に基づきながら「武家の茶」を再興した小堀遠州、そして江戸後期における茶の湯の再編に力を尽くした松江藩主・松平不昧にまつわる道具や、豪商が所持していた名品の数々を紹介しています。

 

重要文化財 粉引茶碗 三好粉引【朝鮮 朝鮮時代・16 世紀】 東京・三井記念美術館蔵

重要文化財 粉引茶碗 三好粉引【朝鮮 朝鮮時代・16 世紀】 東京・三井記念美術館蔵

 白化粧したその姿から「粉引」と名付けられた名品。椀の中を覗き込むと、雨漏りのような、独特の風情の文様に魅せられます。

 

 第五章 新たな創造—近代数寄者の眼

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展覧会の締めくくりとなる本章では、大正から昭和にかけて活躍した次世代の数寄者について取り上げ、それぞれを代表する名品を展観し、あらためて茶の湯の魅力について触れています。

※最終章でテーマとする近代数寄者は、会期中変更されます。


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日本文化の精髄ともいわれる茶の湯。しかし、どこか敷居の高さを感じる方も多いかもしれません。

茶椀や茶道具を鑑賞してみることから始めてみませんか?
「器の中に宇宙が見える」と、古人は天目茶椀を評して言いました。宇宙まで見えるかはわかりませんが、偶然に生じたとは思えない美しい斑紋、ほのかに感じられる土の温もり。見る角度や距離によって姿を変えるそのありさまは、私たちを飽きさせません。

時空を超えて、私たち日本人が愛した茶湯道具が一堂に会する 特別展「茶の湯」。
ぜひこの貴重な機会に、足を運んでみてはいかがでしょうか?


開催概要はこちら:

http://home.ueno.kokosil.net/ja/archives/12866


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