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女優・吉岡里帆さんも登場!【東京都美術館】 『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』 内覧会レポート

2017年10月24日(火)から2018年1月8日(月・祝)の期間、『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』が東京都美術館にて開催されます。開幕に先立ち、10月23日にプレス内覧会がおこなわれましたので、その模様をお伝えいたします。

 

『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』は、ファン・ゴッホが日本の美術、特に人気の高かった浮世絵に見せられ、多大な影響を受けていた事実を検証することを目的のひとつとした展覧会です。日本初となるファン・ゴッホ美術館との本格的な国際共同プロジェクトとなる本展覧会では、ファン・ゴッホの油彩画やデッサン約40点、同時代の画家の作品や浮世絵など約50点に加え、関連資料を通してファン・ゴッホと日本の相互関係に光を当て、その新たな魅力を紹介します。

 

内覧会では、11月に放送されるNHKの特集番組『ゴッホは日本の夢を見た』に出演する女優の吉岡里帆さんが登壇し、ゴッホへの熱い思いを語ってくださいました。

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ゴッホ作『寝室』の前に登場した吉岡さん

パリ、アルル・・・ゴッホの足跡をたどる10日間の撮影の旅を終えて日本に帰ってきた吉岡さん。日本に帰ってきて絵を見ると、どこか懐かしい感じがする、絵が待っていてくれたみたい、と笑顔を見せていました。

 

-吉岡さんにとって、ゴッホとはどういう存在ですか?



絵の美しさだけでなく、彼の人間性に惹かれる部分が大きいです。人の心のあり方を教えてくれる、特別な存在だと思っています。

-会えるなら会ってみたい?友達になれそうですか?

もちろん!もし会えるなら・・・。彼は日本を訪れたことはなかったけど、自分の中で日本を作りだして、その審美眼で絵を描いた。その「信じこむ力」というか・・・私も仕事をする上でその力を信じているので、共鳴できるのではないかと。一緒に語り合いたいなと思います。

-今回の展覧会で一番印象的だった作品は?

『花魁』ですね。日本の絵なのだけど、やはりゴッホが見ていた日本、ゴッホが作りだした美しさがそこにはあって、すごく感動しました。

 

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最後に、アルルの地を訪れた時、その壮大な自然や、旧市街の町並みを見ていると、「自然と涙がこぼれるような思いがあった」と語ってくださった吉岡さん。フランスとオランダを訪れた吉岡さんがゴッホと日本のつながりを探る番組『ゴッホは日本の夢を見た』の放送日は11月3日とのことです。こちらも楽しみですね!


それでは、会場風景と展示作品の中から一部をご紹介いたします。

 

1 パリ 浮世絵との出逢い

2 アルル 日本の夢

3 深まるジャポニスム

4 自然の中へ遠ざかる日本の夢

5 日本人のファン・ゴッホ巡礼

 

『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』は全5章構成となっています。また、ファン・ゴッホ作品40点と、同時代の画家の作品や浮世絵など約50点を展示し、日本美術がファン・ゴッホに与えた影響を検証する第1部と、大正から昭和初期にかけてゴッホゆかりの地を訪れた日本人たちの「聖地巡礼」の足跡をたどる第2部にセクションが分けられています。

 

会場風景

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第2部で展示されているガシェ家の「芳名録」は世界初公開。ファン・ゴッホの死から20年を経て、渡仏した多くの日本人が、ゴッホの最後を看取った医師ポール・フェルディナン・ガシェの家とオーヴェールの地を訪れました。オーヴェールはまさに「ファン・ゴッホ巡礼の地」となり、ガシェ家には来訪した日本人の名が記された芳名録3冊が残されました。これらは、ゴッホに憧れた近代日本人の夢の軌跡を証言する貴重なドキュメントとなっています。

 

展示作品

フィンセント・ファン・ゴッホ《花魁(溪斎英泉による)》

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浮世絵に強い関心を持っていたゴッホは、浮世絵を油彩で模写した作品を何点か残していますが、本作はそのうちの一点です。
オリジナルは溪斎英泉の《雲龍打掛の花魁》で、背景の2匹の蛙は歌川芳丸の《新板虫尽》から、左側の2匹の鶴も無名の絵師の浮世絵からモティーフを引用しています。しかし中央の花魁にはオリジナルにはない鮮やかな色彩をふんだんに使用しており、さまざまなモティーフを自在に組み合わせることで、ゴッホ独自の花魁像に仕上げています。

 

フィンセント・ファン・ゴッホ《アイリスの咲くアルル風景》

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パリの生活に疲弊したゴッホは、1888年に南フランスの小さな町アルルに降り立ちます。陽光と色彩にあふれ、喧騒とは無縁なアルルの町に、ゴッホは憧れの国「日本」のイメージをしばしば重ね合わせています。

本作において描かれているアイリスの花も、理想郷である日本を想起させるモティーフのひとつでした。また、技法においても、近景のアイリスの花や遠景の建物、木々などに日本の版画の影響が見て取れます。ゴッホは浮世絵を見てその運筆のすばやさと簡潔な描線に感銘を受け、その線描法を素描や油彩に積極的に取り入れていました。

 

フィンセント・ファン・ゴッホ《寝室》

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「ぼくはまさに他の芸術家たちがぼくのように簡素を欲する気持ちをもってほしいと願っている。(・・・)日本人はいつも非常に簡素な室内で暮らしてきたが、それでも偉大な芸術家があの国で生まれたではないか」

ゴーガンとの芸術家共同体を夢見て移り住んだアルルの「黄色い家」を描いた本作。どこか空間全体がゆがんだような、不思議な印象を与えます。単純化された様式、平坦な色彩。ゴッホが浮世絵から学んだ要素を取り込んだアルル時代の到達点を示す作品です。

 

佐伯祐三《オーヴェールの教会》

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日本画家・佐伯祐三はフォーヴィズムの大家モーリス・ド・ヴラマンクに師事し、ヴラマンクやユトリロの影響を受けながら独自の作風を追求していました。しかし、彼が他の誰よりも崇拝していたのがファン・ゴッホでした。佐伯氏はこのオーヴェールの教会の他にも、アルルのはね橋やカフェテラス、郵便配達夫など、ファン・ゴッホが描いたモティーフを描き続けました。


開催概要はこちら:
https://home.ueno.kokosil.net/ja/archives/12819


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