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【国立科学博物館】「ワイン展 -ぶどうから生まれた奇跡- 」内覧会体験レポート

10月31日より国立科学博物館にて、「ワイン展 -ぶどうから生まれた奇跡- 」が開催されます。本日、10月30日にプレス向け内覧会が開催され、展示会を見学いたしましたので、その内容をレポートいたします。

まず、内覧会の冒頭に国立科学博物館 植物研究部長の岩科先生からお話があり、なぜ国立科学博物館で、「宇宙」や「地球の大自然」などではなく、「ワイン」という題材を展示することになったのかというお話がありました。ここで岩科先生は、サイエンスの領域が、宇宙や物理化学といったものだけでなく、普段の生活の中に様々な科学的な現象が起きており、その科学的な現象を身近に感じてもらうために企画したとお話しされておりました。このようなコンセプトを基に作られているように、この「ワイン展」では、ワインの歴史を知ることができるだけでなく、そのワインがどのように製造され、世界どのように広まり、どのように楽しむかを科学的な説明を加えながら総合的に理解することができる展示会となっています。

この「ワイン展」の構成ですが、「Zone1 ワイナリーに行ってみよう」、「Zone2 ワインの歴史」、「Zone3 ワインをもっと楽しむ」の3つから成り立っており、多くの資料と映像、そして体験コーナーを交えて、色々な角度からワインを理解することができ、もっとワインを楽しむための知識を深めることができる展示会となっています。ここでは、特に私自身のワインへの理解を深めることができた「製造工程の解説」と「ブドウの解説」について詳しくご紹介いたします。

【ワイン製造行程を体験できる】

ワインの製造は、「収穫」→「除梗・破砕」→「発酵」→「圧搾」→「熟成・貯蔵」→「出荷」の行程を経て、食卓に届きますが、その食卓に届くまでの工程が解説されていると共に、ワイン製造を目で見て、体験しながら理解を深めることができるという点が特徴です。

まず、「ブドウの収穫」に関しては、ワインの品質に大きな影響を与えるブドウの「糖度」の計測について、その測定機器を見学することができ、レモン、リンゴ、もも等と比較して4種類の糖度を見ることができます。

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こうして糖度を比較すると、「ワイン用ブドウ」の糖度が高いことが理解できます。この糖度が高いからこそ、ブドウがワイン製造に適しているのでしょう。



次の「除梗・破砕」工程に関して、最近使用されている機器がビデオで紹介され、また昔に使用されていた古い「除梗・破砕」用の機械が展示されています。
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その昔は、機械ではなく、足で踏みつぶしていたようですが、そのブドウを踏みつぶし、「除梗・破砕」の体験をすることができます。

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3番目の行程の「発酵」では、その発酵のメカニズムが展示されていると共に、発酵前後の様子を見ることができます。「除梗・破砕」後もブドウは原型を留めていますが、発酵により、ほとんど原型を留めていない状態になり、微生物の「力」を感じることができます。

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4番目の行程の「圧搾」でも、その工程を体験することができます。現在は、機械でチューブにより圧力をかけ回転させながら水分を搾り取っているようですが、ここでは、力を掛けて押し、水分と果皮を分離するところを体験することができます。

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5番目の行程の「貯蔵・熟成」では、熟成により、どのように色が変化するか目で違いを見ることができます。

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素人的な考えでは、よく熟成されていたほうがおいしく高級になると思ってしまいますが、熟成には適切な期間があり、熟成が短期間の場合、ワインに強い酸味が残ってしまうそうです。この熟成によりワイン中のリンゴ酸が、乳酸と二酸化炭素に変わり、酸味が柔らかく、渋みとのバランスが良くなり、香りにも複雑さが増すようになります。この熟成のことを、「マロラクティック発酵」といい、ワインの深みを与えてくれる重要な行程となっています。

最後の行程である「出荷」では、そのワインボトルの形状について違いを見ることができます。ここでは、なぜワインのボトルの形状が違うのかが解説されており、普段何も感じることなくワインボトルを見ていましたが、その形状に理由があることを初めて知りました。

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このようにワインの工程を目で見て、そして体験しながら、理解を深めることができます。これにより、なぜワインがそれぞれ酸味があり、コクがあり、香りが違うのか以前より理解できるようになりました。ワインの製造工程と、その香りや味わいの違いが生じる理由を知りたい方には、お勧めの展示です。

【ワインの原料である「ブドウ」への理解が深まる】

ワインの原料となっている「ブドウ属」について詳しく解説されています。例えば、「生食用ブドウ」と「ワイン用ブドウ」に関する説明、「接ぎ木」、ぶどうに寄生する寄生虫、「ブドウの栽培方法」等です。

「ブドウ属」の解説では、写真と共に多くの種類のブドウが紹介されています。普段私たちが目にしているのは房が大きい「飲食用のブドウ」ですが、「ワイン用ブドウ」を写真で見ることができます。スーパーで見ることのできるブドウよりもやや房が小さいでしょうか。

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ブドウを栽培するのに必要な「接ぎ木」に関しても、ただ支えるものというだけでなく、ブドウに寄生する「フィロキセラ」というブドウの根や葉にこぶを作って栄養を吸い取る寄生虫を避けるために使われているということを初めて知りました。このブドウに寄生する「フィロキセラ」ですが、ブドウの欧州種に寄生し、19世紀半ばにヨーロッパの多くのブドウの木が失われ、ワイン業界に大打撃を与えたそうです。

また、ブドウ畑の1年についても解説されていますので、ブドウ栽培がどのように行われているかを知ることができます。

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ここでも、ブドウの選果作業をタッチパネルを使って体験することができますので、楽しみながら選果作業を体験してみると良いのではないかと思います。

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ここでは、「Zone1 ワイナリーに行ってみよう」を中心に紹介しましたが、「Zone2 ワインの歴史」や「Zone3 ワインの楽しみ方」も、「Zone1 ワイナリーに行ってみよう」と同様に沢山の新しいことを知ることができますので、是非会場にお越しになり、「ワインの歴史」「ワインの楽しみ方」について理解を深めていただければと思います。
そして、冒頭の国立科学博物館 植物研究部長の岩科先生のお話をお借りすると、ワインは、「ブドウ属」と「菌」が結び付いて、初めてワインとなるもので、人類の歴史の中で奇跡的に発見し発展させてきたものというお話がありました。この「ワイン展」で、ワインの「奇跡」とこれまでの「軌跡」をご覧になってはいかがでしょうか。

 

展示概要:https://home.ueno.kokosil.net/ja/archives/2575

 


 

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