北條知子&ラヘル・クラフトは、2017年4月1日(土)より22日(土)まで、上野桜木の旧平櫛田中邸で展覧会「Reborn Homes Though My Voice(わたしの声でよみがえる家)」を開催します。
URL: http://rebornsounds.com/
東京/ロンドンをベースに活動する2人のサウンド・アーティスト、北條知子(日本)とラヘル・クラフト(スイス)は、大正時代に建てられた彫刻家の平櫛田中の住まい兼アトリエとして使われていた場所を用いたサイト・スペシフィックなサウンド・インスタレーションを制作します。
2人のアーティストは記憶の中の「家の音」をテーマに、会場周辺の上野桜木・谷中地域の住民にインタビューをおこないます。そこで伝えられるのは、記録されることなく、無意識的に記憶の中に留められている日常的な音です。家という隠された音の領域にある、自分だけが知っている私的で個人的な音――本企画では、これらの個々のサウンド・スケープをさまざまな形で再創造します。
【見どころ】
1.写真などの「記録」としては残されない音の「記憶」
本展覧会で焦点を当てるのは、「記録」としては残されない「記憶の中にしかない音」です。写真などの記録物は、時が過ぎてもその時のことを思い出させたり、誰かと共有させることを容易にします。一方で、日常的な音は多くの場合記録されることなく、また誰かと共有されることもなく、その人自身の記憶の奥底に無意識的にしまい込まれています。散らかった記憶の中の音を探し、作品として新たに光をむけることで、何気ない日常的な音の豊かさや、音楽ではなく「音」を聴くことの創造性、また鑑賞者が自身がおかれている音環境の再発見を促します。
2.地域住民とのコラボレーション
作品制作において、2人のアーティストは展覧会会場周辺の上野桜木・谷中地域の住民にインタビューをおこないました。「家の中の音」には、家自体の音や家族が立てる音の他に、家の外から聞こえる音も含まれます。たとえ同じ地域に住んでいたとしても、住んでいる場所、家の素材、家族構成、職業、年齢などによって聞こえてくる音は大きく異なります。年齢や性別、在住歴の異なる約30人の記憶の音をたどることで、上野桜木・谷中地域の特徴的な音、消えてしまった音、現代だからこそある音などを通して、複層的な地域の音を浮かび上がらせます。
3.アトリエとしての実験・創造・相互作用の場
展覧会会場である旧平櫛田中邸は、彫刻家の平櫛田中の住居兼アトリエとして大正8年に建てられました。本展覧会では、この家とアトリエがともにあるという場の特性を生かし、人々の家の音を収集・再編するだけではなく、これらの素材を生かして新たな作品を創造するための実験場(=アトリエ)として用います。家の音をさまざまな解釈可能性を可能にする楽譜として変換し、会期中の毎週末におこなうワークショップやパフォーマンスで用います。この楽譜は来場者も自由に作成することができます。本物のアトリエのように、日々更新され、作品が生み出される場となるでしょう。
【関連イベント】
1.実験音楽とシアターのためのアンサンブル(EEMT)とのパフォーマンス
日時:4月2日(日) 開場13:00 開演 13:30
料金:2,000円 ※要予約
2.アーティストによるパフォーマンス
日時:4月9日(日)、21日(金) 13:00~16:00
料金:当日展示の入場料のみ
3.デイヴィッド・トゥープによるワークショップ&パフォーマンス
イギリスの音楽家/ライターのデイヴィッド・トゥープ氏による音を用いた集団即興のワークショップと、受講生を交えたパフォーマンス。
日時:4月16日(日) ワークショップ 13:00~、パフォーマンス 18:00~
料金:ワークショップ&パフォーマンス参加料 8,000円(学生は1,000円引き)
パフォーマンスのみの観覧料 2,000円 ※要予約
対象:音楽経験関係なくどなたでもご参加いただけます。当日は、音量調節が可能な楽器をお持ちください。
※予約方法
ご希望の日程と名前、人数を記載の上、 hello@rebornsounds.com までお申し込みください。(イベント詳細はウェブサイトにてご確認ください。)
【アーティスト プロフィール】
<北條知子>
サウンド・アートおよび実験音楽の実践/研究。最近は、特定の場にまつわる個人の記憶やその不安定さをテーマに制作活動をおこなう。ポスト・ジョン・ケージ時代の実験音楽を扱う「実験音楽とシアターのためのアンサンブル」ディレクター。東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程、ロンドン芸術大学MAサウンド・アーツ修了。
<ラヘル・クラフト>
ラヘル・クラフトはサウンド、パフォーマンスを中心に制作しているアーティスト。スイスのコンスタンス湖の近くで生まれ育つ。クラフトの興味は、近代的な作曲、即興、パフォーマンスとインスタレーションが交差するところにあり、そこには場や聴くことの実践、集団的プロセスも含まれる。
<Reborn Homes Through My Voiceについて>
Reborn Homes Through My Voice(わたしの声でよみがえる家)は、北條知子(日本)とラヘル・クラフト(スイス)による進行中のコラボレーションである。2人のアーティストは共にサウンド・アートと実験音楽の領域で活動しており、このプロジェクトにおいて2人のサウンド・アーティストは、文化間の類似と差異を基盤とし、未知の視点を通して、他者、そして自己を聴くことに取り組んでいる。
【展覧会情報】
会期 : 2017年4月1日(土)~4月22日(土)
会場 : 旧平櫛田中邸
所在地 : 東京都台東区上野桜木2-20-3
開館時間: 11:00~18:00
休園日 : 月・火曜
入場料 : 500円
アクセス: JR線 鶯谷駅 北口より徒歩10分
JR線 日暮里駅 南口より徒歩10分
JR線 上野駅 公園口より徒歩15分
東京メトロ千代田線 根津駅 1番出口より徒歩13分
東京メトロ千代田線 千駄木駅 1番出口より徒歩15分
お問合せ: hello@rebornsounds.com
URL : http://rebornsounds.com/
主催:Reborn Homes Though My Voice(北條知子&ラヘル・クラフト)
助成:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、
スイス文化基金、スイス・プロ・ヘルヴェティア文化財団
後援:在日スイス大使館