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【国立科学博物館】国立民族学博物館・国立科学博物館共同企画展「ビーズ-自然をつなぐ、世界をつなぐ」内覧会レポート

2019年4月9日(火)から6月16日(日)にかけて国立科学博物館で国立民族学博物館との共同企画展「ビーズ-自然をつなぐ、世界をつなぐ」が開催されています。メディア向け内覧会に参加してきましたので、さっそく展示の様子をお伝えします!

 

「ビーズ」というと、赤や青、緑などのカラフルなガラス玉を思い浮かべる人も多いはず。しかし、「さまざまな部材をつなげたもの」を意味するビーズ(Beads)は、長い人類の歴史の中で、さまざまな目的のために、多様な素材で作られてきました。

私たちたちは、何のために、どのような素材や技術を用いてビーズを作ってきたのでしょうか。

今回、カハクはミンパク(国立民族学博物館)の協力を得て、それぞれの専門分野である民族学、自然科学の視点からビーズと人類の関わり方を紹介します。

 

植物のビーズ

さまざまな植物が素材のビースが並べられている

 

色鮮やかなトウアズキ(マメ科)の種子を利用した首飾り

 



表面にトウアズキの種子がぎっしりと敷き詰められた、首長用の帽子

植物のビーズには、古来さまざまな種類の種子や果実、花、葉、木材などが用いられてきました。ジュズダマ(イネ科)のようにすでに穴が空いているもの、プルメリアやジャスミンのように花のように匂いを持つ点など、その特徴もさまざま。

私たち人類は、どのような理由でその植物の部位をビーズに利用したのか。ここでは、色や形、香り、入手や加工のしやすさを見ていくことで、それを作った人々の考えを知ることができます。

 

動物のビーズ

アマゾンの民族は鳥の羽が毎年生え変わるのを利用し、ビーズを作る。手を加えなくても、自然とこうした美しい円形になるという

 

バクの足を再利用して作られた装身具。身につけて歩くと音が鳴るので、お洒落として楽しんだらしい

 

身分の高い人物だけが着用することを許された、ジャガーの牙の首飾り

ここでは、骨、葉、牙、爪、毛、羽根、卵殻など動物のさまざまな部位を利用したビーズが展示されています。

一見すると「え、これがビーズ?」と驚かされるようなものもありますが、本展ではビーズを「繋げたもの(Beads)」と広く定義しており、10万年の歴史の中で多種多少な「ビーズ」が生み出されていったことがわかります。

 

こちらはなんと、スズメバチの頭部をつないだ(!)首(腕)飾り。台湾の原住民タイヤル族が制作したもので、彼らはスズメバチがもっとも恐ろしい野生動物であると考え、その力を借りれば悪霊にも打ち勝てると考えました。

注目すべきは、これらの装身具を作るために殺生するのではないという点。動物のビーズには骨や爪、羽毛など食べられない部分が使用されており、おそらく肉はおいしくいただき、残った部分で形が綺麗なものなどについては装飾品として加工したのでしょう。無駄なく動物資源を利用しようというサスティナブル(持続可能)な精神に貫かれていることがわかります。

 

貝のビーズ

貝の世界には色が少ないが、「赤」は特別な色。人々は貝の赤い部分を削り出し、あるいは貝を焼き、装身具に赤を取り入れた

 

タカラガイの腹面(殻の口がある方)を利用した胸飾り(左)と、光沢が美しい背面を利用したかばん(右)。素材は同じだが、右のほうがどこか現代的

 

タカラガイ(腹面)が敷き詰められた、子供を背負うための皮袋

人類最古のビーズは7〜10万年前のアフリカや西アジアから見つかっており、いずれも原料は小型の巻貝の仲間、ムシロガイ。いわば、貝は歴史上最古のビーズです。

ビーズの部材としては海や陸の巻貝が中心ですが、大量に同じ大きさや形でそろえることができ、持ち運びに便利なことから交易を通じて遠方に運ばれてきました。ここでは、貝のビーズの分布や素材の性質などから、地域の人々の交易範囲や文化の特徴を考察しています。

 

ますます広がるビーズの世界

トルコ石を使用したチベットの首飾り。その色は水の精霊をあらわすという

 

古代シリアに最初に作られて以来、世界中にその製法が広まっていったガラスビーズを地域、年代ごとに展示

 

アイヌの信仰儀礼、カムイノミで着用されるタマサイ(首飾り)。アイヌが利用してきた自然資源とガラスビーズを交易し、こうした装身具を制作した

 

「21世紀のビーズ」では日本産のビーズも展示。1000種類以上の色彩が開発され、ハンドバッグなどに使用されている

さらに展示は石、金属、ガラスと、それぞれの素材によるビーズ加工の歴史と作品を紹介。最後を飾る「21世紀のビーズ」の章では、新たな素材や技法を使ったビーズを紹介し、私たちが今後どのようにビーズと関わっていくのか、その未来を展望しています。

 

私たちの装いを彩る「繋げたもの(Beads)」。その歴史をたどって見えてきたものは、自然や生物に対する畏敬の念、そして持続可能な社会を実現しようとする祖先たちの営みでした。

本展の開催は2019年6月16日(日)まで。
国立科学博物館と国立民族学博物館による初めての協働開催「ビーズ-自然をつなぐ、世界をつなぐ」
ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

また、本展ではココシルによる多言語ガイドサービスも実施。解説パネルのQRコードを読み取ることで、英語、中国語などの多言語による解説を楽しむことができます!

 

開催概要

展覧会名 国立民族学博物館・国立科学博物館共同企画展「ビーズ-自然をつなぐ、世界をつなぐ」
会 期 2019年4月9日(火)~6月16日(日)
午前9時~午後5時
(金・土曜日及び4月28日(日)~5月5日(日・祝)は午後8時まで。5月6日(月・休)は午後6時まで)
※入場は各閉館時刻の30分前まで
※今後の諸事情により、開館日や開館時間等について変更する可能性がございます
休館日 毎週月曜日、5月7日(火)(ただし、4月29日(月・祝)、5月6日(月・休)、6月10日(月)は開館)
会場 国立科学博物館
観覧料 一般・大学生:620円(団体500円)
高校生以下および65歳以上:無料
公式サイト http://www.kahaku.go.jp/event/2019/04beads/

 

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