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【国立科学博物館】企画展「マリモ発見120年 マリモの謎-どこからきたのか? なぜまるいのか?-」内覧会レポート

8月22日より国立科学博物館にて企画展「マリモ発見120年 マリモの謎-どこからきたのか? なぜまるいのか?-」が開催されます。その内覧会に参加しましたので、内容をレポートいたします。
 
毬のような球状にフェルト状の表面。可愛らしくもあり神秘的でもあるマリモは、ちょうど120年前の1897年8月23日に、札幌農学校(現在の北海道大学)の学生だった川上 瀧彌(かわかみたきや)によって発見されました。120年の節目を記念し開催される本展では、120年間の研究成果を紹介すると共に、マリモの実物を展示したり、群生地の湖底の動画を公開することで、研究の楽しさやマリモの美しさを伝えています。
 
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川上 瀧彌の当時の論文や、日本最古のマリモの標本など、様々な資料が展示されています。

 

■貴重なマリモを展示
会場には実物のマリモが展示されています。プレートには「特別天然記念物」と「文化庁の許可を得て展示しております」の文字。阿寒湖のマリモが北海道の外で展示されるのは珍しいとのこと。

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実物は見たことがない方も多いのではないでしょうか。

 

0821-4483こちらは直径20cm級のマリモ。滅多に見られない貴重なものです。


 

■マリモはどこからきたのか?
マリモは日本だけではなくロシア、ヨーロッパ、アメリカなど北半球に広く分布していることが分かっています。では、日本のマリモはどこからやって来たのでしょうか。長年の謎だったこの答えが近年の遺伝子解析により明らかになり、本展で紹介されています。

 
■マリモはなぜまるいのか?
マリモの生態は他の藻類と同様、岩や貝に付着して生活するのが基本です。ところがマリモは藻体どうしが絡みやすい構造をしているため、岩や貝の上で厚いマット状になり、それがはがれて湖底を漂いながら大きな塊に発達する場合があります。このとき、うまく浅瀬にとどまると同時に波の力で回転すると、丸い形に発達します。本展では、最近になってその実態が明らかになった、マリモの球状化のメカニズムを紹介すると共に、マリモが湖底で回転する様子がタイムラプス動画で公開されています。

 
■マリモの未来
環境省のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅰ種にランクされているように、マリモは絶滅の危機に瀕しています。マリモを保全するため、阿寒湖では「Myマリモ」と呼ばれる取り組みをおこなっています。「Myマリモ」とは、培養して増やしたマリモ藻体や、破損した球状のマリモの断片を材料として人為的に球状化させ、そこにICタグを埋め込むことで、外からリーダーを使って識別情報を読み取り、マリモ作成者の名前や生育履歴など様々な情報を参照できるようにする取り組みです。「Myマリモ」は、保全や研究に役立つほか、市民のマリモへの関心や理解を高めることにも貢献しています。

0821-4691リーダーを使ってタグの情報を読み取る様子。

 
また、内覧会では「マリモ博士」こと釧路市教育委員会マリモ研究室室長の若菜 勇(わかないさむ)さんが破損したマリモの再生術を実演してくださいました。マリモは一度破れてしまうと球状にならないため、人工的な処置が必要です。再生術では、破れたマリモを人の手で小さく切って重ねて丸め、糸で結びます。この処置により、後は自然と球状のマリモに戻るそうです。処置の際には手術のようにカッターの刃をマリモに入れていましたが、ぎっしりと藻が詰まったマリモになかなか刃が通らず、何度もカッターを替えていました。

0821-4700マリモを切る際にはカッターを3~4本使うそうです。

 

0821-4679糸は3~4カ月で分解されるとのこと。

 

0821-4719マリモの内部には空洞が。これは内側の藻が光合成ができずに枯れてしまうため。枯れたマリモが内部で球状になり、まるで子供のようなマリモが出てくることもあるそうです(上記写真は人が丸めたマリモを中に置いたもの)。

 

■国立科学博物館の取り組み
国立科学博物館では、山中湖の調査やマリモの保全に取り組んでいます。山中湖のマリモは60年前に当時の小学生が発見し、さらに別の小学生が同年にマリモを採取して自由研究をおこないました。その自由研究をおこなった当時の小学生の方が、山中湖のマリモが絶滅状態にあることを最近になってネットで知り、60年前に採取したマリモを国立科学博物館に持ち込んだそうです。現在、同博物館ではこのマリモを還すべく山中湖の環境を調査しています。

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60年前、山中湖で採取されたマリモが展示されています。

 
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当時の自由研究も本展に展示されています。今年どこかの小学生が書いた夏休みの自由研究が、いつか国立科学博物館に展示される…なんてことがあるかもしれません。

 

本展は10月9日まで開催されています。皆さんもぜひ足を運んで、マリモの謎と魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

 

【開催概要】
会場  : 国立科学博物館(台東区上野公園7-20)日本館地下1 階多目的室
開催期間: 平成29 年8 月22 日(火)~平成29 年10 月9 日(月・祝)
開館時間: 午前9 時~午後5 時
※8 月~9 月の金・土曜日は午後9 時まで
※10 月6 日(金)、10 月7 日(土)は午後8 時まで
入館料 : 常設展示入館料のみでご覧いただけます
(一般・大学生:620 円(団体310 円)高校生以下および65 歳以上無料)
※団体は20 名以上
休館日 : 9 月4 日(月)、9 月11 日(月)、9 月19 日(火)、10 月2 日(月)
主催  : 独立行政法人国立科学博物館
学術協力: 釧路市教育委員会
開催内容の詳細はこちらをご覧ください。
https://home.ueno.kokosil.net/ja/archives/16944
 
マリモ講演会 日時9月30日(土)
講演会の詳細はHPをご覧ください。
http://www.kahaku.go.jp/event/all.php?date=20170930
 

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