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【国立西洋美術館】 「アルチンボルド展」内覧会レポート

2017年6月20日(火)から9月24日(日)まで、国立西洋美術館にて「アルチンボルド展」が開催されます。6月19日に報道内覧会が開催されましたので、展示の様子をお伝えいたします。

 

木のこぶが作るイボだらけの額と鼻、頭部に実るりんごや葡萄。果物や穂、ツタや花々といったモチーフを寄せ集めてつくられたユニークな肖像画は、その細部に至るまで入念に描きこまれており、見る者を驚嘆させます。

ハプスブルク家の宮廷で活躍した、奇才の画家アルチンボルド。彼の名は、こうしたユニークで寓意的な肖像画の数々によって、広く記憶されています。
奇想と知。驚異と論理。それらの絵画はまるで暗号のように人々を謎解きに誘い、20世紀以降のシュルレアリスムのアーティストたちに大きな影響を与えました。

 

国立西洋美術館「アルチンボルド展」は、日本でアルチンボルドの芸術を本格的に紹介する初めての機会です。世界各地の主要美術館が所蔵する油彩10数点と素描を中心に約100点を出品し、そのユーモアあふれる「知略の芸術」の秘密にせまります。


それでは、展示風景をご紹介いたします。

 

I. アルチンボルドとミラノ

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アルチンボルドは、1526年にミラノで画家の息子として生まれました。ステンドグラス原画や壁画の制作などを手がけた後、神聖ローマ帝国宮廷に招聘され、時の皇帝マクシリミアン2世に仕えることとなります。アルチンボルドはハプスブルグ宮廷のアートディレクターとして活動するかたわら、やがて画業においてもその才能を開花させることとなるのです。

 



II.ハプスブルク宮廷

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アルチンボルドは時に、ギリシャ神話の海神プロテウスにたとえられます。宮廷で、アルチンボルドは画業のみならず、祝祭イベントのプロデュースや各種発明、古代美術品の買い付けなどさまざまに活動しますが、まさに変身の神プロテウスも真っ青の変幻自在ぶり、ということでしょうか。
本章では宮廷の依頼で描かれた肖像画から衣装デザイン、豪華な貴石細工まで、多彩な品々が展示されています。

 

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アルチンボルドの最も独創的な作品として知られる連作『四季』と『四大元素』が奇跡の集結。本展覧会の目玉ともいえる作品群です。

 

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《春》《夏》《秋》《冬》からなる『四季』は1563年に最初の連作が描かれた作品で、80種もの花々からなる《春》など、それぞれの季節の植物によって上半身が構成された寓意的な肖像画です。季節の産物という小さなモチーフで形作られた人間と、季節という大きなテーマが呼応するこの連作は、ミクロコスモス(小宇宙)とマクロコスモス(大宇宙)の対応という古来の考え方に根差しているそうです。

 

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世界を構成する4つの要素と考えられていた《空気》《火》《土》《水》のモチーフからなる『四大元素』。
なぜ、アルチンボルドはこうした奇妙な肖像画の連作を制作したのでしょうか?その理由は判明していませんが、四季の循環が永遠に続くのと同様、皇帝の不滅の権力を称揚する意図があったと言われています。

近づいた時と、離れた時。一枚の肖像画がまるで違う表情と陰影を帯び、不思議と引き込まれてしまいます。

 

Ⅲ.自然描写

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アルチンボルドが顔に描きこんだ花や果物、魚や鳥はすべて実際に存在する種です。アルチンボルドが仕えた皇帝マクシミリアン2世は自然科学の愛好家であり、世界中の動物や植物を収集し、動物園まで開設していました。アルチンボルド自身もまた、皇帝のために精緻な動物画や植物画の数々を描いています。
本章では、アルチンボルド絵画における自然描写の側面に焦点を当てて紹介しています。

 

Ⅳ.自然の奇跡

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Ⅴ.寄せ絵

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アルチンボルドによる「寄せ絵」は、『四季』『四大元素』を形作った要素であり、また彼の名声の基盤となったものでした。同時代人たちは彼の寄せ絵を「奇想」「酔狂」という言葉で表現し、驚嘆しています。

 

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おっと、これは・・・

 

Ⅵ.職業絵とカリカチュアの誕生

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アルチンボルド絵画の「カリカチュア的性格」「ジョーク」が遺憾なく発揮された傑作の数々を紹介。宮仕えの学者を描いた『司書』は本という、その職業をあらわすモチーフで構成されています。四角四面な性格をバカにしているようで、可笑しいですね。

 

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器に盛られた野菜をさかさまにすると、人間の顔に変化する「上下絵」。こうした絵画はユーモアを大切にした当時の宮廷人たちに愛されたことでしょう。

 

Ⅶ.上下絵から静物画へ

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アルチンボルドの「上下絵」は、それ自体を肉や野菜の静物として見た場合、イタリアにおける最初の静物画となります。最終章では、アルチンボルド絵画がイタリア絵画史において果たした画期的な役割について触れ、本展を締めくくっています。


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「今回の展覧会は、人々を魅了するような作品を描いた画家としてのアルチンボルドの人生と、彼が暮らした環境について的を絞ったもので、このような展覧会は初めてではないでしょうか」
本展監修者であり、元ウィーン美術史美術館絵画部長であるシルヴィア・フェリーノ=パグデンさんはそう語ってくださいました。

 

会期は2017年6月20日(火)から9月24日(日)まで。
ハプスブルグ宮廷を魅了した、奇想の世界。
謎めいたアルチンボルドの世界に、足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?

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「もしアルチンボルドが自分の顔を描いてくれたら・・・」
会場には、そんな人たちの夢をかなえる「アルチンボルドメーカー」も登場!ぜひ会場でお試しください。


開催概要はこちら:
https://home.ueno.kokosil.net/ja/archives/12364


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