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【東京国立博物館】特別展「仁和寺と御室派のみほとけー天平と真言密教の名宝」報道発表会レポート

2018年1月16日(火)から2018年3月11日(日)にかけて東京国立博物館で開催される特別展「仁和寺と御室派のみほとけー天平と真言密教の名宝」の報道発表会が、6月19日に行われました。今回はその様子をレポートいたします。

 

毎年春、京都の仁和寺の境内に咲き誇る、遅咲きの桜として有名な「御室桜(おむろざくら)」のことはご存じでしょうか?
もともと「御室」とは、仁和寺を建立した宇多天皇のために設けられた室(僧坊)を指し、鎌倉時代以降は「御室」といえば仁和寺のことをあらわすようになりました。

仁和二年(888)に建立されたこの真言密教の寺院は、歴代天皇の厚い帰依を受けたことから、すぐれた絵画、書跡、彫刻、工芸品の数々が伝わります。創建時の本尊である阿弥陀如来坐像もまた、当代もっともすぐれた工房で制作された作品でした。また、仁和寺には莫大な古文書類が残されていますが、その中でも国宝・高倉天皇宸翰消息は、仁和寺と皇室との深いかかわりを物語ります。

本展覧会は、仁和寺に伝わるこれら名品の数々を一堂に紹介する大変貴重な機会となります。

 

本展覧会のみどころは・・・

①秘仏や本尊を含む仏像約七十体が一堂に!
創建当時の本尊である、国宝「阿弥陀如来坐像および両脇侍立像」など、仁和寺が誇る仏像にくわえ、全国の御室派寺院の中から葛井寺の国宝「千手観音坐像」などの普段公開されていない秘仏や名宝、合計約七十体を一堂に公開。

仁和寺所蔵の国宝「三十帖冊子」、修理後初の全帖公開!
2014年度に修理が完了した、弘法大師・空海のゆかりの国宝「三十帖冊子」を公開します。ファンを魅了してやまない空海ゆかりの書を、全帖にわたりご覧いただけます。

仁和寺の観音堂を展示室に再現!
一般には非公開の観音堂を展示室に再現。実際に安置されている仏像三十三体にくわえ、壁画も高精細画像で再現し、仁和寺に守り伝えられてきた観音堂の姿を体感いただきます。


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報道発表会では、東京国立博物館 特別展室長の丸山士郎氏より、展覧会の概要説明がおこなわれました。

 

第一章 御室仁和寺の歴史

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「御室」と称されてきた仁和寺の歴史を如実に物語るのが、国宝・高倉天皇宸翰消息をはじめとする、仁和寺に伝わる書の数々です。その書(宸翰)を中心に、歴代の肖像画や工芸品、古文書などにより仁和寺の歴史を知ることができます。

 

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国宝「薬師如来坐像」。当時を代表する仏師円勢とその子長円の作で、仁和寺北院の本尊であった薬師如来像が火災により消失してしまった後、すぐに作り直されたのが本作です。木地に直接、截金(きりがね)加工と呼ばれる金箔で細かな文様を施した、大変美しい作品です。

 

第二章 修法の世界

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密教の教えでは、仏の力によって現実世界に様々な影響を与える「修法(しゅほう、すほう)」という儀式があります。仁和寺は弘法大師空海を祖と仰ぎ、また皇室との関わりが深いことから、修法に関わる多くの名宝が残されています。第二章では、修法の場で用いられた仏画や法具、曼荼羅などを展観します。

 

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「北朝時代、これほど本格的な仏画は他にない」と丸山氏が評する「孔雀明王像」。大きな孔雀に乗り、三面六臂(三つの顔に六本の腕)の姿は、経典にも見られない、大変珍しいものです。

 

第三章 御室の宝蔵

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宇多天皇の崩御により、膨大な数の御物が仁和寺の管理下に移され、仁和寺の宝蔵により厳重に管理されてきました。第三章では、国宝「三十帖冊子」など、永きの間、宝蔵で護られてきたさまざまな寺宝を紹介します。

 

第四章 仁和寺の江戸再興と観音堂

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応仁の乱で焼失した仁和寺は江戸初期、覚深法親王が徳川家光に働きかけたことで再興されました。本章では再建された諸堂のうち、普段は非公開の観音堂の様相を三十三体の安置仏と壁画の高精細画像で再現。また。仁和寺の江戸再興に関わる作品を展示します。

 

第五章 御室派のみほとけ

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現在、仁和寺を総本山とする御室派寺院は、全国に約790箇所を数えます。最終章では、普段公開されていない秘仏を含めて、仁和寺と御室派寺院に伝わる名品を一堂に紹介します。御室派の広がりによって生まれた仏像の饗宴は、壮観なものになるでしょう。

 

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葛井寺の秘仏にして、国宝。千の手と十一の顔を持つ、現存最古の千手観音菩薩像。天平彫刻の最も優れた作品の一つとされています。
こちらは展示期間が限られているので、ご注意ください。


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「日本の文化は、このような宗教的、仏教的なものを土台としながら島国である特異性を生かし、形成されてきました。様々な仏が共存しながらひとつの文化をつくりあげてきた日本文化の多様性、そして仁和の気持ちを世界が求めているならば、ここから発信していきたいと思います」
本展覧会の主催であり、総本山仁和寺門跡である立部祐道様は、冒頭でそのように語ってくださいました。

 

仁和寺の「遅咲き」の桜が、来春、東京・上野で咲き誇る。
約70体の本尊・秘仏が一堂に集結する特別展「仁和寺と御室派のみほとけー天平と真言密教の名宝」。開催されましたら、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

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