9月19日より東京都美術館にて、「マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展」が開催されます。その内覧会に参加しましたので、その内容をレポートいたします。
印象派の巨匠として絶大な人気を誇るクロード・モネ(1840-1926)。今回の展覧会では画家が10代で描いたカリカチュア(風刺画)から、生前に発表されることのなかった家族の肖像画、移りゆく光をも捉えた「睡蓮」の連作、白内障を患いながら精力的に描き続けた「日本の橋」、最晩年の色彩溢れる作品など約90点を展示します。
展覧会に入ってすぐにある作品はモネが同世代の中でとりわけ親しい関係にあった、ピエール=オーギュスト・ルノワールの作品『新聞を読むクロード・モネ』『クロード・モネ婦人の肖像』です。彼らはシャルル・グレールのアトリエで出会いルノワールが亡くなるまで60年近く友人の関係が続きました。モネの婦人を描いた『クロード・モネ婦人の肖像』は、婦人の正面から視線を外した表情と左手で襟元のリボンを触っている様子から、照れて恥ずかしそうな、でもその中にも暖かさがあり、ありのままの素直な感情が伝わってきます。
「子供の頃、授業はほとんど聞かずに、私はノートにカリカチュアを実に上手に描いていた」というモネ。個人的な特徴を誇張したり、物や動物に似せたりして人物を表すカリカチュアは19世紀の大衆向けの新聞や雑誌に数多く掲載されていました。学校では先生をカリカチュアで描きみるみるうちに上達していきました。そして描いたカリカチュアを売るようになり当時にしては高額であったにもかかわらず、どんどん注文が増えていきました。
そんな中モネの師の一人となるウジェーヌ・ブータンはモネの才能を見抜き「ここに留まらないことを期待する。デッサンをしなさい。そして風景画を描きなさい」と助言しました。モネはこの助言を聞き入れ、油絵の具で絵を描くようになりました。
晩年のモネの作品は粗い筆触でこれまでの繊細な色合いとは非常に異なり、青系や赤系のはっきりとした色彩が強く力強い作品になりました。これらの作品には、白内障の影響が指摘されます。失明の恐怖と戦っていたモネは白内障の術後を受けますが、術後、それ以前の数年間に描いた多くの作品を破棄します。その中でも破棄しなかった作品たちが今回展示されています。
今回の「マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展」ではモネの生涯、パリのマルモッタン美術館から来日したコレクションが集う”究極のモネ展”が楽しめます。
21年ぶりに東京でみる事ができるモネの代表作『印象・日の出』は10月18日まで展示しています。10月20日からは『サン=ラザール駅』が展示されます。
ぜひこの機会に究極のモネ展をお楽しみください。