【東京都美術館】 「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」報道発表会レポート

2018年1月23日(火)から2018年4月1日(日)にかけて東京都美術館で開催される「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」の報道発表会が、10月20日に行われました。今回はその様子をレポートいたします。

 

16世紀フランドルを代表する画家、ピーテル・ブリューゲル1世。雄大な風景やヒエロニムス・ボス風の版画の下絵で人気を博した彼の特徴は、人間の実像をありのままに描き出す、その類い稀な観察眼にありました。その才能は息子のピーテル・ブリューゲル2世、ヤン・ブリューゲル1世、その子孫たちへと受け継がれ、ブリューゲル一族はおよそ150年にわたり、優れた画家を輩出し続けたのです。

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本展は、貴重なプライベートコレクションを中心に、厳選されたおよそ100点の資料を通じて一族の画業をたどるものです。ピーテル1世からひ孫のアブラハムらに至る4世代の画家たちと同時代のフランドルの画家たちが描いた宗教画、風景画、寓意画、静物画など多岐にわたる作品を展示し、16、17世紀フランドルにおけるブリューゲル様式の全体像にせまります。

 

本展覧会のみどころは・・・



1、画家一族 150年の系譜
聖書の世界から農民の生活、風景などを時に皮肉を交えながら描き、高い評価を得ていたピーテル・ブリューゲル1世。父の作品の忠実な模倣作を描いた長男のピーテル2世、「花のブリューゲル」と称えられた次男のヤン。その子孫たちもまた工房で学んで画家となり、一族は150年にわたり画家を輩出し続けました。本展では、このブリューゲル一族の作品を中心に、16、17世紀のフランドル絵画を紹介します。

2、貴重なプライベート・コレクション、そのほとんどが日本初公開
ピーテル・ブリューゲル2世による《野外での婚礼の踊り》など、ブリューゲル一族の絵画およそ100点を展示。その多くが、通常観ることのできない貴重なプライベート・コレクションに収められています。そのため、出展作品のほとんどが日本初公開となります。

3、細密絵画のルーツと伝統
今回の出展作品には縦・横30cm未満の比較的小さな作品が多く含まれています。たとえばヤン1世の《水浴する人たちのいる川の風景》などはわずか17cm×22cmの作品ですが、驚くほど細部を描き込んでいます。単眼鏡やオペラグラスの携帯もオススメです。

4、「工房作」「共作」とは
工房作とは、画家が自身の弟子たちに指示して描かせた作品であり、共作とは、複数の画家が共同してひとつの作品を描くことです。共作は画家自身が別の画家に依頼する場合もあり、人物画と風景画の専門家が分担して描くような場合もありました。本展では、工房作や共作が多数出展されています。


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東京都美術館 学芸員 高城靖之氏

報道発表会では、本展を担当した東京都美術館の学芸員、高城靖之氏からみどころ解説と展示の紹介がおこなわれました。ここでは、今回の出展作品の中から代表的なものをご紹介いたします。

 

ヤン・ブリューゲル1世《水浴する人たちのいる川の風景》

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ネーデルラントでは宗教改革の影響も受け、人々は自然の偉大さを再認識するようになっていました。そして、16世紀のアントウェルペンでは風景画を専門とする画家たちが現れます。本作は、ヤン1世がイタリアから故郷のアントウェルペンに戻った1590年代に制作されました。わずか17cm×22cmの小さな作品ですが、その緻密な描写には驚かされます。

 

ピーテル・ブリューゲル2世《野外での婚礼の踊り》

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前景では多くのカップルが踊り、奥のテーブルには花嫁が座っています。複数の人物たちの衣装や帽子に使われている赤がリズムを生み、画面にアクセントを加えています。
農民たちの婚礼の踊りは、17世紀初頭のフランドル絵画において最も人気の高い主題のひとつでした。この主題の創始者がピーテル1世であり、息子のピーテル2世もヤン1世もこの陽気な祝宴の場面を繰り返し描きました。

 

ヤン・ブリューゲル1世 ヤン・ブリューゲル2世《机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇》

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本作はヤン1世と、その工房で徒弟として修行した息子のヤン2世が共同で制作した非常に貴重な作例です。父のヤン1世は風景画や寓意画など、さまざまな主題の作品を手がけましたが、とりわけ花の静物画を得意とし、「花のブリューゲル」と呼ばれました。息子のヤン2世も父の作例から影響を受け、花の静物画を描いています。

 

ピーテル・ブリューゲル2世《鳥罠》

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ピーテル・ブリューゲル2世は、父であるピーテル・ブリューゲル1世の模倣作(コピー)を大量に制作しました。
「当時の人々にとって、模倣作(コピー)とは、現代のわれわれが受けるような否定的な印象はなかったように思えます」
と高城氏は解説します。写真がなかった時代、作品を模写することで多くの人々の目に触れることになり、結果的にピーテル1世もその恩恵に与っていたのです。

この《鳥罠》の題材はおそらくピーテル1世が考案し、一族が類型化したものです。この題材の成功は「冬の風景」というジャンルの確立、ひいては風景画の発展に大きな影響を与えました。本作は数世代にわたってプライベート・コレクションにおさめられており、展覧会で公開されるのはこの巡回展が初めてになります。


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記者発表会では、「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」オフィシャルサポーターである俳優・渡辺裕太さんがゲストとしてお越しくださいました。

意気込みを尋ねられて、
「正直、今まで芸術に深く触れてきたというわけではないのですが、今回自分なりにブリューゲル一族について調べてみました。内容を知ってみると『こんな楽しみ方ができるんだ』と気づかされる作品が多く、興味深かったです。ブリューゲルをよく知っている方にも、知らない方にも、その魅力を広くお伝えしていければと思います」
と真摯に答えてくださった渡辺さん。

「ブリューゲル一族の150年にもわたる伝統を一気に観ることができる展覧会です。ピーテル1世の注意深い観察力から生まれる繊細なタッチ、そういうものがひ孫の世代まで続いているんだな、と思いました。ぜひ、みなさんの目でブリューゲル一族の伝統を『発見』してほしいと思います」

 

会期は2018年1月23日(火)から4月1日(日)まで。
類い稀なる画家一族(ブリューゲル)の画業をたどる「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」。
開催されましたら、ぜひ足をお運びください。

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