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【国立科学博物館】 特別展「人体ー神秘への挑戦ー」報道発表会レポート

2018年3月13日(火)から2018年6月17日(日)にかけて国立科学博物館で開催される特別展「人体ー神秘への挑戦ー」の報道発表会が、11月30日に行われました。今回はその様子をレポートいたします。

 

人類にとって最も身近にありながら、永遠の謎に満ちた神秘の存在である人体。自らを生かし、動かすものの仕組みを理解するために、人類はルネサンス時代から多くの挑戦を重ねてきました。

「人体ー神秘への挑戦ー」は、NHKスペシャル「人体〜神秘の巨大ネットワーク〜」の放送と連動した特別展です。本展覧会では、こうした先人たちの努力の歴史と功績を振り返りながら、人体の構造と機能を解説するともに、それが最先端の研究でどのように変わりつつあるのかを紹介します。



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「そもそも、人は今までどのように人体を理解してきたのか。その歴史を振り返って、将来的にはどのように人体に対する考え方が変わっていくのかを見通したい。それが本展覧会の最初のコンセプトでした」
本展監修者である国立科学博物館副館長、篠田謙一氏から本展覧会の企画の意図について解説がありました。

そもそも、人体を理解するとはどのようなことなのか。
それは進化の文脈の中で語られることもあれば、機会になぞらえて構造と機能の関係の中で理解されることもある。生物である以上、発生過程からの説明も不可欠です。篠田氏の挙げた「三つの要素の制約」のもとに人体の研究は深められ、これまでに多くの解釈が生まれてきました。

こうした人体研究の歴史は、まさに科学の発達の縮図であり、本展のテーマは最も身近なものでありながら、きわめて壮大な謎を投げかけます。

 

本展のみどころ


人体研究のパイオニアの足跡をたどる

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人体研究史の重要な転換期はルネサンス期(14-15世紀ごろ)に訪れました。パドヴァなどのイタリアの都市を中心に近代的な解剖学の基礎が熟し、人体への構造に対する理解が深まっていったのです。

本展の最大の特徴は、こうした人体研究の「歩み」をクローズアップする点です。レオナルド・ダ・ヴィンチの人体解剖図や、先人たちの残したデッサンや書籍など、人間の身体を切り開き、自らの目で学んだ先人たちの研究の足跡について紹介します。

 

①アンドレアス・ヴェサリウス『ファブリカ』 ファクシミリ版1964年より  ①アンドレアス・ヴェサリウス『ファブリカ』2 ファクシミリ版1964年より

アンドレアス・ヴェサリウス『ファブリカ』 ファクシミリ版1964年より

医学関係者でその名を知らぬ者はいない、解剖図譜『ファブリカ』。著者のヴェサリウスはパドヴァ大学で学んで医学博士となり、従来の伝統にとらわれず観察したままを描いた解剖学書『ファブリカ』を出版。古代ローマの時代に医学者ガレノスが確立していた説を次々に修正していきました。

 

本展のみどころ

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人を人たらしめているもの

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圧倒的な高い知能により、動物界の頂点に君臨することができた人類。人類を最も特徴づけているのは、脳の構造と機能であるといえます。

19世紀には、ゴルジやカハールといった第一人者によって脳に対する理解は飛躍的に進展しました。しかし、脳が人体の機能を一元的に司るとされてきた従来の常識に対し、近年の最新研究では、脳を介さず、臓器同士が直接「メッセージ」をやりとりしていることがわかってきました。
本展ではこうした最新の知見を交え、あらためて「脳」の神秘に迫ります。

 

「キンストレーキ」(男性)19世紀 金沢大学医学部記念館所蔵

「キンストレーキ」(男性)19世紀 金沢大学医学部記念館所蔵

キンストレーキはオランダ語で、いわば「人造死体」。オランダ人解剖学者オズーが開発した、紙粘土の精巧な模型です。このキンストレーキは加賀藩の蘭学医がオランダ海軍の軍医から購入したもので、日本国内に現存するキンストレーキはわずか4体といわれています。

 

本展のみどころ

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21世紀の人体研究

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技術の進歩により、肉眼では見えないものまでが研究対象になり、人体への理解は分子や原子などミクロなレベルまで深化してきました。また、人類の特殊性を理解するためには他の動物、特に同じ仲間である哺乳類をはじめとする脊椎動物の構造を詳細に調べ、対比しなければなりません。

本展では、こうした比較解剖学の解説のほか、体内の細胞の4K超高精細映像などを展示し、これまでの常識では知りえなかった人体研究の「いま」を紹介します。

 

腎臓の糸球体 ©甲賀大輔・旭川医科大学 / 日立ハイテクノロジーズ /NHK

腎臓の糸球体 ©甲賀大輔・旭川医科大学 / 日立ハイテクノロジーズ /NHK

 

精巣の精細管 ©甲賀大輔・旭川医科大学 /NHK

精巣の精細管 ©甲賀大輔・旭川医科大学 /NHK

近年では、生きたままの体内を鮮やかに映し出す蛍光顕微鏡や、超ミクロの世界を立体的にとらえる電子顕微鏡など、これまでの価値観を変える装置が次々に生み出されています。会場では、4Kスーパーハイビジョンの映像で超高精細の体内の映像を紹介します。



左より NHKスペシャル「人体」チーフ・プロデューサー 浅井健博氏、国立科学博物館名誉研究院 山田格氏、国立科学博物館副館長 篠田謙一氏

左より NHKスペシャル「人体〜神秘の巨大ネットワーク」チーフ・プロデューサー 浅井健博氏、国立科学博物館名誉研究院 山田格氏、国立科学博物館副館長 篠田謙一氏

本展覧会の開催に際して放送されているNHKスペシャル「人体~神秘の巨大ネットワーク~」はすでに2回を終えましたが、いずれも多くの反響を呼んでいるとのこと。
報道発表会では番組のチーフ・プロデューサーである浅井健博氏も登壇し、意気込みを語りました。
「僕たちの放送している内容が、歴史的にどういう立ち位置にあるのか。番組をご覧いただいた方にも、まだご覧になっていない方にも、誰も経験したことのない世界観や歴史の流れを、この展覧会を通して感じていただけると思います」

 

2018年3月の開催に先立ち、NHK「健康チャンネル」「人体WEB」の「人体」VRアドベンチャー・ツアーなど、さまざまな連動企画がスタートしています。
最も私たちの身近にありながら、人類が挑み続けてきた永遠の謎「人体」。
この機会に、その神秘にふれてみてはいかがでしょうか。



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