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【東京都美術館】 「プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画ー」報道発表会レポート

2018年4月14日(土)から2018年7月8日(日)にかけて東京都美術館で開催される「プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画ー」の報道発表会が、12月5日に行われました。今回はその模様をお伝えいたします。

 

報道発表会の舞台となった在日ロシア連邦大使館

報道発表会の舞台となった在日ロシア連邦大使館

ロシアの首都モスクワに位置し、絵画、彫刻、版画など約70万点を超える収蔵作品を誇るプーシキン美術館。その世界的な西洋絵画コレクションの中でも、プーシキン美術館の名をもっとも世に知らしめているのは、印象派からマティス、ピカソまで、珠玉の名品をそろえたフランス近代絵画の作品群です。
2005年、2013年に開催されたプーシキン美術館展に続く本展では、17世紀から20世紀の風景画約65点が来日。神話の一場面や身近な大自然、大都市パリの喧騒から想像の世界にいたるまで、描かれた場所と時代を軸にフランス近代風景画の流れを紹介するものとなっています。


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報道発表会では、本展を担当した東京都美術館の学芸員、大橋菜都子氏からみどころ解説と展示の紹介がおこなわれました。ここでは、今回の出展作品の中から代表的なものをご紹介いたします。

 

クロード・ロラン《エウロペの掠奪》 1655年



2. クロード・ロラン/エウロペの掠奪

神話や聖書の物語の背景として描かれてきた風景は、17世紀のオランダにおいて「風景画」として確立します。フランスの画家たちもしだいに風景そのものに関心を示し、古代の遺跡や旅先の景色を描いていきました。

白い牡牛に姿を変えたゼウスがフェニキアの女王エウロペを連れ去る神話を描いた本作には、風が波を立てる様子や洋上の船、青々とした木々など、美しい自然が丁寧に描かれています。

 

ジャン=フランソワ・ラファエリ《サン=ミシェル通り》 1890年代

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19世紀半ばから、パリでは外科手術にたとえられる「パリ大改造」が行われ、街並みはその姿を大きく変えました。印象派の画家たちは生まれ変わったパリを歩き、近代都市の情景を数多く描いていきます。

ラファエリは本作で街灯が灯る夕刻のサン=ミシェル通りを描き、「新しいパリ」の姿を捉えています。高層の建物の奥に建つ偉人の墓所パンテオンや、雨上がりの路上にきらめく光の美しさが印象的です。

 

アンドレ・ドラン《港に並ぶヨット》 1905年

10. アンドレ・ドラン/港に並ぶヨット

パリを起点に鉄道網が発達することにより、人々は郊外に出かけレジャーを気軽に楽しむようになります。画家たちも積極的に郊外に取材し、南フランスの海辺や自然豊かな風景をさまざまに表現していきました。

本作は1905年のサロン・ドートンヌに展示されたもの。マティスたちが「フォーヴ(野獣)」と評されたことで、「フォーヴィスム(野獣派)」という言葉が誕生するキッカケとなりました。
鮮やかな色彩とリズミカルな筆致でコリウールの港が描かれ、色彩の置かれない水面や白い帆が南フランスの明るい陽光を感じさせます。

 

クロード・モネ《草上の昼食》 1866年

1. クロード・モネ/草上の昼食

印象派の誕生前夜、26歳の若きモネが描いた作品です。恋人カミーユや友人で画家のバジールらと交際していた青春時代のモネ。彼らをモデルに、画中ではさまざまな人物が多彩なポーズを取り、背景にはフォンテーヌブローのみずみずしい自然が美しく広がっています。

東京大学教授・三浦篤氏の解説によれば、プーシキン美術館に残る本作はもともとサロン(官展)に出品する大作のための下絵として描き始められたものではないかということ。大作は諸事情で未完成の断片のみとなり(オルセー美術館が所持)サロンへ出品されることはありませんでしたが、本作はモネの構想の完全形を今に伝えています。

他にも、三浦氏からは本作の見どころや、作品を構成するさまざまなモティーフについて興味深い解説がありました。

 

制作にあたり刺激を受けたとされる、エドゥアール・マネ《草上の昼食》との比較

制作にあたり刺激を受けたとされる、エドゥアール・マネ《草上の昼食》との比較

 

作中に取り入れられたパリの最新ファッション

作中に取り入れられたパリの最新ファッション

 

木に刻まれたキューピッドの矢が、愛のテーマを暗示?Pとは誰?

木の幹に刻まれたキューピッド(?)の矢。Pとは誰?

 


冒頭で挨拶を述べる、プーシキン美術館 マリーナ・ロシャク館長

プーシキン美術館 マリーナ・ロシャク館長

報道発表会では、プーシキン美術館 マリーナ・ロシャク館長から挨拶が述べられました。
「今回来日する65点の作品はハイレベルであるだけではなく、時代や場所、美術史の流れの中で非常に典型的とされる作品たちです。私たちは日本の方々が印象派やポスト印象派に特別な愛情を抱いていることを知っています。そうした方々へのプレゼントとなるような作品を持ってきたいと思います」
また、マリーナ氏によれば来日する65点のうち50点が日本初公開とのこと。日本では3度目となるプーシキン美術館ですが、全く新たな視点からフランス近代絵画を見つめ直す機会となりそうです。

 

2018年4月から開催される「プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画ー」。
巨匠たちが愛した風景をめぐる旅に出かけてみてはいかがでしょうか?

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※作品画像は全て© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.


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