藤田嗣治 《カフェ》 1949年 油彩・カンヴァス ポンピドゥー・センター(フランス・パリ)蔵 Photo © Musée La Piscine (Roubaix), Dist. RMN-Grand Palais / Arnaud Loubry / distributed by AMF © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833
東京都美術館では、2018年7月31日(火)~10月8日(月・祝)の期間、「没後50年 藤田嗣治展」が開催されます。3月28日に開催された報道発表会を取材いたしましたので、本展のみどころをご紹介いたします。
明治半ばの日本で生まれ、人生の約半分をフランスで暮らし、晩年はフランス国籍を取得した画家、藤田嗣治(ふじた つぐはる、1886-1968)。2018年は没後50年にあたります。本展覧会では、藤田の代名詞ともいえる「乳白色の裸婦」を10点以上含む、精選された作品110点以上が一堂に展示されます。
おかっぱ頭に丸眼鏡、ちょび髭、ピアス。藤田は20歳代前半から80歳代を迎えた最晩年の姿まで、半世紀以上にわたって継続的に自画像を残しています。本展では、パリで本格的にデビューした直後である1921年の、不安げな表情をした自画像に始まり、20年代後半、売れっ子になってからの、アトリエでお気に入りのものや猫に囲まれた姿が展示されます。
裸婦の画家として定評のある藤田。乳白色の下地に黒く細い輪郭線で描くという独自の絵画スタイルを持ちます。1920年代初期の裸婦像には、装飾的な綿布との対比により白い人肌の美を引き立たせた作品があります。《タピスリーの裸婦》では、裸婦もさることながら、背景の綿布にも藤田の描写力が表れています。
「私は猫を友達としている。」とエッセイで語ってる藤田は、捨て猫や迷い猫を見つけると放っておけず、連れて帰って飼っていました。本作《猫》は、猫を扱った藤田の作品の中で最もよく知られた作品。第二次世界大戦勃発後、ドイツ軍が迫るパリで描かれました。
《カフェ》は1949年に日本を離れた藤田が、その後滞在したニューヨークで制作した作品。黒く細い輪郭線により、女性のドレスや鞄、紳士の帽子等の黒色が際立っています。本展での展示の際に使用される額縁は、藤田の手製のものです。
藤田嗣治と交流があった高階秀爾(大原美術館 館長・東京大学名誉教授)さんは、報道発表会で登壇された際、藤田について「人懐っこく、気難しさがない人。その人格は作品に表れている」と話していらっしゃいました。
藤田の大回顧展となる本展。開催された際には、皆様も是非足を運んで、藤田という画家の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
展覧会名 | 没後50年 藤田嗣治展 |
会期 | 2018年7月31日(火)~ 2018年10月8日(月・祝) |
場所 | 東京都美術館 |
公式サイト | http://foujita2018.jp |