【国立西洋美術館】「ルーベンス展ーバロックの誕生」記者発表会レポート

2018年10月16日(火)から2019年1月20日(日)にかけて国立西洋美術館で開催される「ルーベンス展ーバロックの誕生」の記者発表会が、3月29日に行われました。今回はその様子をレポートいたします。

 

17世紀を代表する画家のひとり、ルーベンス(1577-1640)。スペイン領ネーデルラント(現在のベルギー周辺)で活動した彼の作品は、その豊かな色彩や動きあふれる構図によって、当時ヨーロッパを席巻していたバロック美術の見本となっています。由緒ある名家に生まれ、その高度な教養から外交官としても重宝されたルーベンスは、その一方で大規模な工房を構え、画家として名声を博しました。

本展ではルーベンスが滞在したイタリアとの関係に焦点を当て、ルーベンスの作品とともに彼が影響を受けた古代美術やルネサンスの作品、そして同時代以降のイタリア人画家の作品を一堂に展示します。


会場となったのは、麹町のベルギー王国大使館



 

駐日イタリア大使 ジョルジョ・スタラーチェ閣下

「ルーベンスは、その絵画のインスピレーションをルネサンスの発祥地であるイタリアから得ていました。私たちはそのことを誇りをもって申し上げることができます。イタリアで暮らした8年間は、彼の美術にとってとても大切なものになりました。そして、このフランドル地方のMaestroは、『ルネサンスの最後の大画家』と称されるようになったのです」

報道発表会の冒頭では大使から挨拶があり、駐日イタリア大使ジョルジョ・スタラーチェ閣下からはルーベンスとイタリアの関わり、そしてイタリア・ルネサンスが及ぼした影響について語られました。

「イタリアの各地で直に古典美術に触れることで、ルーベンスとその工房の作品に消すことのできない特徴が生まれました。こうしたイタリア独特の美的感覚は、現代世界においても、ファッションやデザインなど、さまざまな分野に見出すことができると思います」

 

これまで、国内でもルーベンスの展覧会は何度か開催されていますが、いずれも母国のネーデルラント美術との関連性に焦点を当てたものでした。
しかし、「ルーベンス展ーバロックの誕生」ではルーベンスの絵画をイタリア美術の文脈から見直すもので、ルーベンスをいわば「イタリアの画家」として扱うという、国内では初の試みとなります。

 

それでは、今回の出展作品の中から代表的なものをご紹介いたします。

(以下の作品は全てペーテル・パウル・ルーベンスによるもの)

 

《セネカの死》

マドリード、プラド美術館蔵 ©Madrid, Museo Nacional del Prado

謀反の濡れ衣を着せられ、皇帝に自殺を命じられた古代ローマの哲学者セネカの全身像。姿勢は有名な古代彫刻をほぼそのまま引用したもので、ルーベンスによる古代美術の学習の成果を示しています。

 

《眠る二人の子供》

東京、国立西洋美術館蔵

幼い二人の子供に対する愛情が感じられる肖像画。モデルは早世した兄フィリプスの子供たちと考えられています。この絵は大きな作品を制作する際の見本とするために書かれたものと考えられ、同じ頭部が天使や幼児イエスとして登場する作品があります。

 

《マルスとレア・シルウィア》

ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション ©LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

ローマの伝説上の建国者となるロムルスとレムスの母、王女レア・シルウィアが軍神マルスによって見初められる場面。神殿を舞台に、雲に乗ってきたマルスが降り立ち、キューピッドが二人を結びつけています。ルーベンスが古代文学にも精通していたことを物語る絵画作品です。

 

《ヴィーナス、マルスとキューピッド》

ロンドン、ダリッジ絵画館蔵  By Permission of the Trustees of Dulwich Picture Gallery.

ヴィーナスは愛と美の神、マルスは戦の神。ヴィーナスの美と愛によってマルスの武装が解除されるという図像は、ルネサンス以来しばしば描かれました。第6章では、女性ヌードを題材とする全身像の古代彫刻を、絵画作品と同じ空間に展示します。


また、本展に開催にあたってさまざまな関連企画も予定されています。
こちらは、ベルギーといえば・・・ということで登場した『フランダースの犬』のネロとパトラッシュ。ルーベンスはネロの憧れの人という設定でしたね。
『フランダースの犬』は今秋、CS・TBSチャンネルにて放送予定のほか、本展とのタイアップ企画が進行中ということです。こちらも楽しみですね!

 

会期は2018年10月16日(火)から2019年1月20日(日)まで。
絵画史を大きく塗り替えることになる、ルーベンスとイタリアの出会い。
近年では最大規模となる「ルーベンス展ーバロックの誕生」、開催されましたらぜひ足をお運びください。

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