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《相対性》 1953年
上野の森美術館では、2018年6月6日(水)~7月29日(日)の期間、「ミラクル エッシャー展 奇想版画家の謎を解く8つの鍵」が開催されます。
実際にありそうで現実には存在し得ない風景や、ひとつの絵の中に重力が異なる世界が存在するなど「ありえない世界」を描く、マウリッツ・コルネリス・エッシャー。その独創的な世界は、クリエイターだけではなく、数学者や建築家など幅広い専門家達にインスピレーションを与えてきました。
本展覧会では、代表的な”トロンプ・ルイユ(だまし絵)”の作品に加え、初期の作品や木版、直筆のドローイングなど約150点を紹介。8つの観点からエッシャーの作品に迫ります。
展示構成
1. エッシャーと『科学』
エッシャーの版画では、モティーフが循環したり、タイル状に埋め尽くされるなど、幾何学的な表現が用いられています。エッシャーはこれらの表現を生み出すために、同時代の科学から着想を受け、独自の数学的な理論を発展させました。
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《対照(秩序と混沌》 1950年
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《メビウスの輪Ⅰ》 1961年
2. エッシャーと『聖書』
この章では、若いエッシャーが描いたキリスト教主題の版画が紹介されます。旧約聖書創世記を扱った連作には、19 世紀後半から 20 世紀初頭にヨーロッパで流行したアール・デコ様式からの影響を見ることができます。
3. エッシャーと『風景』
エッシャーが描く不可思議な印象のイメージは、彼の風景体験が源泉となっています。アルハンブラ宮殿での幾何学な装飾模様との出会いは、パターン化されたモティーフ表現の原点となり、地中海の風景版画は、のちに登場する視覚的な実験を先取りしたものになりました。
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《カストロヴァルヴァ、アブルッツィ地方》 1930年
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《アマルフィ海岸》 1934年
4. エッシャーと『人物』
初期のエッシャーは、単身の人物表現にも取り組んでいました。この章では、家族や近しい人々のほか、自分自身の姿をモティーフとした作品が紹介されます。
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《椅子に座っている自画像》 1920年
5. エッシャーと『広告』
エッシャーの造形は商業デザインにも登場します。この章では、商用として利用されたイメージとともに、エッシャーらしさが凝縮された小さなグリーティングカードも紹介されます。
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《オランダ蔵書票協会(ハーグ)のための年賀状(グリーティングカード)》 1946年
6. エッシャーと『技法』
エッシャーは様々な版画技法に取り組み、その技法を発展させることで不可思議な空間を作り出しました。この章では、多種多様な作例、マテリアルとともにエッシャーの版画技法が紹介されます。
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《トンボ》 1936年
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《眼》 1946年
7. エッシャーと『反射』
エッシャーの作り出す不可思議な世界の特徴の一つが、鏡面のイメージです。エッシャーは現実世界にあるモティーフと、仮想世界としての鏡像の共存するイメージを描くことに夢中になっていました。
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《球面鏡のある静物》 1934年
8. エッシャーと『錯視』
エッシャー芸術を代表する要素が、実現不可能な建築表現や、永遠に変化し続けるパターンを描いたイメージなどの「ありえない世界」です。この独創的な表現は、当時の数学者が発表した不可能な図形に着想を得たものもあり、エッシャーが長年にわたり独自発展させた理論が形になっています。
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《滝》 1961年
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開催概要
展覧会名 | 生誕120年 イスラエル博物館所蔵 ミラクル エッシャー展 奇想版画家の謎を解く8つの鍵 |
会場 | 上野の森美術館 東京都台東区上野公園1-2 |
会期 | 2018年6月6日(水)~7月29日(日) ※会期中無休 |
開館時間 | 10:00~17:00 ※毎週金曜日は20:00まで ※入館は閉館の30分前まで |
料金 | ※()内は前売及び団体料金 |
URL | http://www.escher.jp/ |