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【東京国立博物館】特別展「始皇帝と大兵馬俑」内覧体験レポート

10月27日より東京国立博物館にて特別展「始皇帝と大兵馬俑」が開催されます。その内覧会に参加しましたので、内容をレポートいたします。

今からおよそ2200年前、中国で初めて「皇帝」と名乗り「始皇帝」と呼ばれてれていた嬴政(えいせい)。多くの国が争う時代が続いていた中国で、13歳で秦の王となり次々に他国をほろぼし天下を統一しました。その巨大な陵墓のほど近くに埋められた約8000体の陶製の兵士や馬などからなる「兵馬俑」は、20世紀最大の考古学的発見のひとつといわれ、出土以来、新しい知見と驚きをもたらし続けています。今回の展覧会では、バリエーション豊かな兵馬俑と始皇帝にまつわる貴重で多彩な文物を一堂に紹介し、始皇帝が空前の規模で築き上げた「永遠なる世界」の実像に光をあてています。

第1章 秦王朝の軌跡―周辺の小国から巨大帝国へ
小国・秦は、春秋時代になると陝西(せんせい)省の関中盆地に東遷します。そこはかつて天下に君臨した西周王朝が都を置いた特別な場所であり、西周から受け継いだ肥沃な大地は、秦を経済的な意味だけでなく、政治的な意味においても強国とする基盤となりました。ライバル国であった「西戎(せいじゅう)」「匈奴(きょうど)」、さらには西周王朝との関わりを物語る青銅器・金銀器・土器などを通して辿っていきます。

玉胸飾り (西周時代・前10~前9世紀) 宝鶏市周原博物館

玉胸飾り (西周時代・前10~前9世紀) 宝鶏市周原博物館



こちらは淡緑色の玉器59個と赤・黄色の貴石297個からなる胸飾りです。中国の人々は玉の独特な質感に神秘性を見出し、約8000年前の新石器時代からさまざまな形の装身具などを作ってきました。かつて天下に君臨した西周王朝で王侯が高い身分の象徴として身につけたもので、あこがれのアクセサリーであったそうです。

玉剣・金剣鞘 (春秋時代・前8~前7世紀) 韓城市梁帯村古墓葬群文物保護管理所

玉剣・金剣鞘 (春秋時代・前8~前7世紀) 韓城市梁帯村古墓葬群文物保護管理所

玉を磨いて作った短剣と、その金製の鞘です。こちらは秦に隣接した国のものですが、青銅製で同形の短剣と金器が秦墓でも出土します。秦とその周辺、および北方草原とのつながりを物語る貴重な作品です。

第2章 始皇帝の実像-発掘された帝都と陵園
競合する国々を滅ぼし中国で初めて「皇帝」なった始皇帝は、それまで国によって異なっていた度量衡、貨幣などを統一し、新たな支配体制を確立しました。また帝都・咸陽のにぎわいや咸陽宮殿と始皇帝陵園の壮大なスケールについても、発掘された巨大な建材や壁画から迫ります。

DSC_0355こちらは宮殿の屋根を飾った瓦当です。当時、瓦は王朝の重要な建物にしか用いることができない特別な資材であったと考えられています。写真の瓦当には飛躍している鹿の姿や胴に縞模様がある虎のような動物に、人が槍で刺そうとする場面が表わされています。瓦当の文様は建物の安全や国家の繁栄を祈る気持ちが込められていたと想像されますが、本来の意味は解明されていません。

第3章 始皇帝が夢見た「永遠の世界」-兵馬俑と銅車馬
兵馬俑は全体でひとつの軍団を写したものです。展示会場では数千もの兵馬俑が出土した発掘現場「兵馬俑坑」を再現することで「軍団」としての兵馬俑の圧倒的な迫力が楽しめます。

1号銅車馬(複製) (原品=秦時代・前3世紀) 秦始皇帝陵博物院

1号銅車馬(複製) (原品=秦時代・前3世紀) 秦始皇帝陵博物院

2号銅車馬(複製) (原品=秦時代・前3世紀) 秦始皇帝陵博物院

2号銅車馬(複製) (原品=秦時代・前3世紀) 秦始皇帝陵博物院

2両の銅車馬は始皇帝が実際に乗ったと考えられる馬車を青銅で細部まで再現した模型です。1号銅車馬は立って乗るもので、輿には絹傘を立てています。2号の銅車馬は輿のなかに座ることができ、左右両側と前方の窓は自在に開閉できます。御者はいるものの、主人の姿は見えません。始皇帝の霊魂を乗せて出かけるために副葬したとする考え方もあります。

最後の展示室へ進むと今回の一番の見どころである数千もの兵馬俑が展示してあります。いくつか紹介します。

軍吏俑 (秦時代・前3世紀) 秦始皇帝陵博物院

軍吏俑 (秦時代・前3世紀) 秦始皇帝陵博物院

二の腕まで覆う重装備の鎧をまとい、頭に板状の冠を載せています。前に出した左手の角度から、当初は何らかの武器を少し傾けて持っていたものと推測されます。いかにも豪傑風の髭をもつ部隊長級の人物です。

将軍俑 (秦時代・前3世紀) 秦始皇帝陵博物院

将軍俑 (秦時代・前3世紀) 秦始皇帝陵博物院

湾曲した冠と丈の長い、房飾り付きの鎧を身につけています。組んだ両手の下には、もともと剣を立てていたという説もあります。思慮深そうな眼差しとたくましい両腕に、百戦錬磨の武将ならではの風格が漂います。

今回の展示の内覧会に参加してやはり一番印象に残っているのは最後の展示です。部屋一体に展示してある兵馬俑の数々は部屋に入った瞬間声を上げそうになるほど圧倒され、異様な空間でした。また兵馬俑一体一体の顔つきが違うところ、一体一体衣服が異なっているところ、本当は兵馬俑の鎧や皮膚などに色がつけられていた事など始皇帝の繊細さ、権力の強さがうかがえました。
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秦の宮殿と都であった巨大な始皇帝陵を守る兵馬俑の軍団をつくらせた始皇帝の思いをぜひ間近で感じて下さい。特別展「始皇帝と大兵馬俑」は2月21日までの展示です。
兵馬俑の軍団と記念撮影ができるスペースもあります。

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