2019年8月3日(土)から東京上野の東京藝術大学大学美術館で、
「円山応挙から近代京都画壇へ」が開催されています。
(~9月29日(日)まで)
先日、本展の報道内覧会が開催されましたので、今回は、そのレポートをお届けします。
円山応挙について
円山応挙は、1733年(享保十八年)に現在の京都亀岡付近(丹波桑名郡穴太村)で農民の子として生まれました。
しかし、貧しい家庭環境のため生活は苦しく、幼いころから奉公に出されていたといいます。
その奉公先の一つ、尾張屋勘兵衛の店は浮絵、望遠鏡、のぞき眼鏡、人形などを扱う玩具商でした。
応挙はそこで眼鏡絵を描く機会を得たのを皮切りに、狩野派の流れをくむ石田幽汀(ゆうてい)に師事し、眼鏡絵を通して西洋画の技法である透視図法を習得することで、絵画の技術を磨いていきました。
名前も1766年(明和3年)から「応挙」と名乗るようになります。
そして、三井寺円満院門主の祐常と出会い、様々な注文を受ける中で、数々の名品を生み出し、画家として大成していきます。
この時期に生まれた様式が実物そのままの生を写す、写生画(スケッチ)。
当時の絵画の基本が、やまと絵か中国画だけであった時代に、応挙の写生画は簡単でわかりやすく、庶民に身近なものとして絵画を広めることになります。
そんな親しみやすく、古い伝統にとらわれない自由奔放な応挙の画風に魅せられ、全国から入門する門弟は数多く、1780年代には、円山派という一流派が形作られて工房を組織できる規模の流派になっていきます。
円山・四条派とは?
円山派と共に、与謝蕪村に学び、のちに応挙に師事した呉春を中心とした流派に”四条派”があります。
四条派は、呉春やその弟子たちが京都の四条通り周辺に住んでいたことから名づけられた画派。
呉春の写生的な画風が応挙の影響を受けていることから、円山派と四条派の二派は、関連する二大流派として、「円山・四条派」と呼ばれ、近世以降の京都の主流となり、近代京都画壇にも大きな影響を及ぼし、現代まで脈々と受け継がれています。
展覧会の見どころ
本展覧会は、応挙、呉春から近代へ至る系譜を追うことで、円山・四条派の全貌に迫り、日本美術史の中で重要な位置付けの京都画壇の様相の一端を明らかにするもので、大まかに4章構成となっています。
その展示数は、重要文化財8点、重要美術品2点を含む約100点で、これまでには無かった最大規模の展覧会となっています。
一番の注目は、丸山応挙最晩年の最高傑作と呼ばれる「大乗寺襖絵」の立体展示。
その他、応挙に関連する呉春を始め山本守礼、亀岡規礼と続く、「円山・四条派」の系統を踏む画家の襖絵、32面も紹介します。
また、東京展前期のみ、重要美術品「江口君図」が出品されるのも見どころの一つ。
新発見された作品「魚介尽くし」も東京展のみ展示されています。
その他の作品
まとめ
円山・四条派は、どれが円山派か?どれが四条派か?という定義が曖昧で、専門家でも判断しきれないとのこと。
円山応挙の写生画に奇をてらったり個性を発揮する表現がないように、円山・四条派の変化も大きく目に見えるものはなく、なだらかです。
そのため、作品を鑑賞する際には、難しいことを考えずに、そのなだらかな変化やそれぞれの作風の違いを自然に楽しむことが、大切。
急速な変化と共に進化した江戸の文化に対して、京都独自の文化を育んできた円山・四条派。
東京藝術大学大学美術館で、円山・四条派の作品たちに触れてみては、いかがでしょうか?
開催概要
展覧会名 | 円山応挙から近代京都画壇へ |
会期 | 前期:2019年8月3日(土) – 9月1日(日) 後期:2019年9月3日(火) – 9月29日(日) 前期後期で大展示替え! ※ただし、大乗寺襖絵は通期展示 午前10時 – 午後5時(入館は閉館の30分前まで) |
休館日 | 月曜日 ※ ただし、月曜日が祝日または振替休日の場合は開館、翌日休館 |
会場 | 東京藝術大学大学美術館(上野公園) 本館 展示室1、2、3、4 |
観覧料 | 一般1,500円(1,200円)高校・大学生1,000円(700円) ※中学生以下無料 ※( )は、20名以上の団体料金 ※ 団体観覧者20名につき1名の引率者は無料 ※障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に障がい者手帳などを要提示。お得なチケット情報 ※詳細は公式サイトでご確認ください。 |
公式サイト | https://okyokindai2019.exhibit.jp/ |