「TOKYO 書 2016 公募団体の今」が、1月4日より東京都美術館にて開催されました。本展覧会は、2013年より主に東京に拠点を置く書の公募団体の活性化のために企画され、今回が第4回目になります。この「TOKYO 書 2016 公募団体の今」の内覧会に参加しましたので、この内容をレポートいたします。
今回の「TOKYO 書 2016 公募団体の今」は、18の書の公募団体の合同展であり、次代を担う書作家38名の61作品が展示されています。今回の展覧会に関して、内覧会の際にご説明いただいた中から、3つの特徴を抽出してご紹介します。
1. 作家一人当たり10mの壁面に、全員が新作一点以上を出品する
作家一人当たり10mの壁面を使用し、作品を出品することができるため、普段見ることができないような見ごたえのある大作を鑑賞することができます。筆者自身、これほど大きな書道の作品を見たのは初めてで、このような大作が多数展示されています。
2. 現代の書の幅広いジャンルを全て網羅
本展覧会では、多様に展開する現代の書の幅広いジャンル、漢字、かな、前衛所、大字書、近代詩文書、篆刻、刻字などを網羅しており、一度にお楽しみいただけるようになっています。
3. 説明文を多言語化
外国人のお客様からの要望があり、今年度からタイトルに関して多言語表示を開始しました。下の写真からも多言語化している部分があることがわかります。
【印象的な作品をご紹介】
ここまでは、展示会の3つの特徴について、取り上げてきましたが、ここからは筆者が印象的と感じた作品をいくつかご紹介いたします。
力強い筆さばきで、躍動感を感じました。パンフレットに掲載されている作品ということもあり、素晴らしい作品です。
最年少30代の作者の作品です。筆使いが柔らかく感じる作品でした。
上段と下段に別れており、下段に奥の細道の全文が書かれ、上段に屏風仕立てで俳句が書かれています。作品としてのバランスがよく、美しい作品に映りました。
「古今和歌集」の和歌が梅の木の水墨画と花に見立てた輪の中に描かれています。書道で書かれた文字が梅の木と花の魅力を引き出しています。まるで梅の花が咲いているかのような華やか印象を受けました。
このように作者あたり10mという幅を活用した様々な作品が展示されています。書道の多彩なジャンルの作品を鑑賞できる本展示会は、ただ単に「書」を鑑賞するという枠にとらわれない芸術を鑑賞することができます。
新春にふさわしい作品の数々を東京都美術館でご覧になってはいかがでしょうか。