3月1日より上野の国立西洋美術館にて、17世紀のイタリアを代表する画家ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571-1610 年)と彼の作品を模倣し継承したカラヴァジェスキを紹介する特別展「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」が開催されます。
本日2月29日にプレス向け内覧会が開催されましたので、「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」の様子をお伝えいたします。
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョは、西洋美術史上もっとも偉大な芸術家のひとりであり、イタリアが誇る大画家です。「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」では、現存する彼の作品60点強の中から10点を集めて展示していますが、この規模の開催は、世界でも有数の規模、そして日本では過去最多の展示数となります。また、これまでの展示会では、時系列でカラヴァッジョの作品が紹介されてきましたが、「風俗」「五感」「静物」「肖像」「光」「斬首」「聖人」などキーワード毎に作品を並べ、カラヴァッジョの作品と彼の多くの継承者(カラヴァジェスキ)の作品を比べながら、カラヴァッジョの絵画がどのようにカラヴァジェスキや西洋美術史に影響を及ぼしたのか、知ることができるようになっています。本レポートでは、印象に残ったテーマから順に、カラヴァッジョの作品と彼の作品を模倣し継承したカラヴァジェスキの作品を比較しながら、「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」を紹介していきます。
【テーマⅣ:光】
《エマオの晩餐》 カラヴァッジョ 1606年
恐らくこれがカラヴァッジョの特徴的な技法が集まった作品だと考えますが、光の当たっている部分がはっきりと描かれている反面、光の当たらない部分は黒で描かれています。そして、光の当たっている部分は、まるで写真のように忠実に描写されています。カンヴァスの約半分は、漆黒であるにもかかわらず、その漆黒が絵を中心となる表現したい部分に視線を向かわせる効果があるように感じます。
《キリストの降誕》 ヘリット・ファン・ホントホルスト 1620年頃
こちらの絵画も、明暗をはっきりつけることによりキリストの降誕部分がクローズアップされています。カラヴァッジョの技法が参考にされているものと考えられます。
【テーマⅢ:静物】
《果物籠を持つ少年》 カラヴァッジョ 1597年
画面左上から指す光によって照らされた光によって、背景は斜めに影が落ち、そのように具体的に設定された光源はカラヴァッジョの作品の本物らしさや実在感を作り上げる重要な役割を果たしています。ここに描かれた果物やその植物の葉はみずみずしく、そして生き生きと描かれています。
《アミンタの嘆き》 バルトロメオ・カヴァロッツィ 1615年以前
画面左から差し込み、カンヴァスに明暗がはっきりと付けられた構図等、カラヴァッジョの技法が参考にされていると考えられます。左下のブドウが写実的かつみずみずしく描かれています。
【テーマⅠ:風俗画 占い、酒場、音楽】
《女占い師》 カラヴァッジョ 1597年
男女二人が目を合わせ、男性が指輪から目をそらしている隙に指輪を盗み出そうとする瞬間が良く描き出されています。騙す側の女性や騙される側の男性の表情がリアルに描かれているほか、両者の衣服のしわや模様なども鮮明に描かれ、絵画全体が写実的に表現されています。
《女占い師》 シモン・ヴーエ 1618~20年
こちらも絵の構図がカラヴァッジョの《女占い師》によく似ています。それぞれの人物の感情が、顔の表情として良く表現されています。
ここまで本レポートでは、カラヴァッジョの作品3点とカラヴァジェスキの作品3点を各テーマで比較しながら紹介してきましたが、「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」では、他にもカラヴァッジョの秀逸な作品が展示されている他、多くのカラヴァジェスキの作品を観ることができます。是非この機会に一度、カラヴァッジョをはじめとした17世紀の絵画をご覧になってはいかがでしょうか。
展示会の開催概要はこちら : https://home.ueno.kokosil.net/ja/archives/3889
チケットプレゼントはこちら:https://home.ueno.kokosil.net/ja/archives/4352