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【東京国立博物館】 特別展「生誕150年 黒田清輝―日本近代絵画の巨匠」 内覧会体験レポート

3月23日より東京国立博物館にて、日本美術の近代化のために力を尽くした黒田清輝の作品を集めた特別展「生誕150年 黒田清輝―日本近代絵画の巨匠」が開催されます。

本日3月22日にプレス向け内覧会が開催されましたので、特別展「生誕150年 黒田清輝―日本近代絵画の巨匠」の様子をレポートいたします。

本展覧会は、日本の美術界の近代化のために力を尽くした黒田清輝の作品を、東京国立博物館および国内外の27か所から集結した作品を約200件を展示し、東京国立博物館で黒田清輝誕生150年を記念して開催される初の大規模な回顧展になります。本展覧会は、フランス留学時代に描いた作品を集めた 第一章「フランスで画家になる-画学修行時代」(1884~1893年)、日本に帰国し日本洋画のあるべき姿を模索した 第二章「日本洋画の模索―白馬会の時代」(1893~1907年)、そして日本洋画の将来のために確固たるアカデミズムの確立を目指して奮闘した 第三章「日本洋画のアカデミズム形成―文展・帝展の時代」(1907~24年) の三章から成り立っており、時系列で黒田清輝の作品を鑑賞できる流れになっています。また、フランス留学時代の師匠ラファエル・コランや同時代のフランス絵画に刺激を受けたミレーやモネ等の作家の作品も展示され、どのように黒田清輝が影響を受けたのかうかがい知ることができる展示会となっています。

それでは、それぞれの展示エリアに掲載されている印象に残った作品をご紹介していきます。

【第一章「フランスで画家になる-画学修行時代」(1884~1893年)】

薩摩藩士の子として鹿児島に生まれた黒田清輝は、18歳で法律を学ぶためにフランスへ留学しますが、パリで知り合った日本人画家と交流するうちに画家になる決意を固め、ラファエル・コランに入門します。この留学初期に描いた作品が多く展示されており、下のミレー「小便小僧」模写などはその頃にどのような絵画を描いていたかうかがい知ることができる作品です。

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ミレー「小便小僧」模写 1888年頃カンヴァス、油彩 30.3×22.5cm 鹿児島市立美術館蔵



第一章の後半になってくると、師匠コランに画風に似た自然光をふんだんに使った作品が多くみられるようになってきます。「読書」、「針仕事」等がその頃の印象に残る作品でした。

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読書 1891年(明治24)  カンヴァス、油彩 98.2×78.8cm 東京国立博物館蔵

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針仕事 1890年(明治23)  カンヴァス、油彩 81.2×65.0cm 石橋財団石橋美術館蔵

フランス留学時代の約10年間にどのように修業し、腕を上げていったのかが、よくわかるようになっています。

第一章では、黒田清輝が影響を受けた画家、ラファエル・コラン、ミレー、モネの作品も展示されています。

ラファエル・コランの作品は、自然光をふんだんに使う画風は黒田清輝の作品と似ており、影響を受けていることが分かります。

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フロレアル(花月) ラファエル・コラン 1886年 カンヴァス、油彩 110.0×185.0cmオルセー美術館蔵

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羊飼いの少女 ジャン=フランソワ・ミレー 1863年頃 カンヴァス、油彩 81.0×100.1cmオルセー美術館蔵

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サンジェルマンの森の下草クロード・モネ 1882年 カンヴァス、油彩 81.0×65.0cm 吉野石膏株式会社

影響を受けた画家の作品が15点ほど展示されていますが、それぞれ第2章以降に展示されている作品と画風が参考にされていると思われるものが出てきており、見比べると面白いのではないかと思います。

【第二章「日本洋画の模索―白馬会の時代」(1893~1907年)】

1893年に日本に帰国した黒田清輝の作品の数々が展示されています。初期の作品は、日本人の視点よりも海外生活者の視点で描かれた作品がいくつか展示されています。

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舞妓 1893年(明治26)  カンヴァス、油彩 80.4×65.3cm 東京国立博物館蔵

最も広く親しまれている作品「湖畔」もこの章に展示されています。この作品は自然光のふんだんに取り入れられおり、夏の避暑地のイメージがよく伝わってる代表的でかつ典型的な作品です。

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湖畔 1897年(明治30)  カンヴァス、油彩 69.0×84.7cm 東京国立博物館蔵

この章では、黒田清輝が描いた数々の肖像画や裸婦像などが展示されています。

【第三章「日本洋画のアカデミズム形成―文展・帝展の時代」(1907~24年)】

日本洋画の将来のために尽力した時期の作品を展示したものが、第三章になります。この章の中で特に印象的な作品は「野辺」です。師匠のラファエル・コランの作品や作風によく似ています。髪が流れているシーンや肌のみずみずしさが印象的です。

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野辺 1907年(明治40) カンヴァス、油彩 54.9×72.8cm ポーラ美術館(ポーラ・コレクション)蔵

病室から描いた最後の作品です。何か儚さを感じさせます。

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梅林 1924年(大正13) 板、油彩 25.9×34.8cm 東京国立博物館蔵

特別展「生誕150年 黒田清輝―日本近代絵画の巨匠」では、黒田清輝がフランス留学時代、そしてフランスから日本に戻り日本洋画に新風を吹き入れた時期、そして日本洋画のために尽力した時期の各時代の作品を鑑賞することでき、どのように絵画を学び、そしてヨーロッパの画家にまね、そして自らの日本洋画を確立する一連の流れを見ることができます。是非、この機会に生誕150年を記念した黒田清輝の大規模な回顧展に足をお運びになり、日本洋画に新風を吹き入れたその技法を鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

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