音声ガイドのナビゲータを務める鈴木亮平さん
4月12日から6月19日まで東京国立博物館にて、特別展「黄金のアフガニスタン~守りぬかれたシルクロードの秘宝~」が開催されます。
本日4月11日にプレス向け内覧会が開催されましたので、その様子をレポートいたします。
本展覧会は、5章から構成されており、4章までは年代別に紹介され、第5章のみ日本に保護された「流出文化財」が展示されています。
この展覧会の見どころは、間違いなく黄金の秘宝の数々です。この展覧会のタイトルにもなっている通り、これほどまでに多くの黄金の文化財が2000年近く前に存在したということに驚かされます。特に圧巻は、第3章「ティリヤ・テペサカ・パルティア時代(前1世紀~1世紀)」に展示されている6基の墓の中に手つかずの状態で発見されたいくつもの装飾品です。
鈴木亮平さんが紹介する「冠」
1978年に遊牧民の有力者の墓から出土したもので、現代の装飾品としても十分に通用するような黄金の品々が見られます。
お墓の中で見つかったときの写真や埋葬された方のどの部分の装飾品だったのか、確認することができます。
細部まで作りこまれた数々の装飾品は、多くの人々を「あっ」と言わせることでしょう。写真で見るよりも実物のほうが細部まで作りこまれた装飾であることが分かると思います。想像以上の豪華さ、そして輝きを放っていますので、是非実物をご覧ください
次に 第4章 「ベグラム クシャーン朝時代(1~3世紀)」の展示品を紹介します。古代アフガニスタンは、「文明の十字路」と呼ばれていたこともあり、東西の特徴を持つ文化財が一つの地域から出土しています。
アフガニスタン?と思ってしまうような東洋風や西洋風の展示物が見られます。
古代のアフガニスタンが、交易網「シルクロード」の交通路として、古代より様々な民族と文化が交錯してきたことが展示物から見て取れます。
この他、第5章「アフガニスタン流出文化財」では、アフガニスタンが戦乱のため、多くの文化財が略奪され流出する中、国外に持ち出され、日本にも運ばれたものも展示されています。
これら、102件の「流出文化財」は、この展覧会終了後、アフガニスタンに返還されることになったそうで、そのうち15件が本展覧会に展示されています。このように、日本が「流出文化財」を「文化財難民」と位置付けて保護し、返還する試みがあることを日本として誇りにするべきかもしれません。
アフガニスタンでは、ご存知の通り、ソビエト連邦の軍事的な進行や国内の内戦、そしてアフガニスタン戦争と長きに渡って戦乱が続いていました。この中で、文化財を守るために、アフガニスタン国立博物館の博物館員が自らの命も顧みず、文化財の保護のために活動したその勇気を本展覧会で見ることができるのではないかと思います。もし、アフガニスタンの博物館員が戦乱の中、大統領府の金庫の中にこのような文化財を入れ、家族にも知らせぬまま戦乱が終結するまでかくまうことがなければ、これらの貴重な文化財は世界中に流出し、まとまった形で見ることがなかったものです。また、流出した文化財を保護し、本展覧会を機に日本からアフガニスタンに返還されることになった文化財の見て、「文化財を守る」という日本の国際貢献を感じることができるでしょう。是非、アフガニスタンの博物館員の気概を特別展「黄金のアフガニスタン~守りぬかれたシルクロードの秘宝~」の展示物を通してご覧になってはいかがでしょうか。