6月21日から7月10日まで東京国立博物館にて、日韓両国でそれぞれの代表的な半跏思惟像が1体ずつ展示されます。
本日、その報道内覧会が開催され、一般公開に先駆けて2体の半跏思惟像を見学いたしましたので、その様子をレポートいたします。
半跏思惟とは、片方の足をもう片方の膝の上にのせ、指を頬にあてたまま思索にふける姿勢のことで、この半跏思惟像に日本を代表する彫刻の名作が多いのは、指に頬をあてる仕草や肘をついて片足を踏み下げ、ゆったりとする姿勢を表すため、高度な技術を持った技師が選ばれるためではないかと考えられています。このように日韓両国でも国宝となっており、かつ両国の彫刻の代表ともなっている名作が一堂に集う見どころがあふれる展覧会となっています。
【展示風景】
展示会場に入ると、右に「韓国国宝78号 半跏思惟像」、左に「中宮寺門跡所蔵 国宝 半跏思惟像」が展示されています。両仏像が対面で並べられており、両仏像を比較しながら鑑賞することができるようになっています。
【中宮寺門跡所蔵 国宝 半跏思惟像(日本)】
7世紀の飛鳥時代に作られた「中宮寺門跡所蔵 国宝 半跏思惟像」は、木製(クスノキ)で作られており、頭から肩にかけて柔らかな曲線で表現されています。台座部分が非常に細やかに、かつしなやかに彫刻されており、正面だけでなく、360度様々な角度から見ることができます。また、日本人にとっては馴染みがある微笑みを浮かべており、私たちにとっては落ち着きを与えてくれます。
【韓国国宝78号 半跏思惟像】
「韓国国宝78号 半跏思惟像」は、6世紀に作られ、日本の「中宮寺門跡所蔵 国宝 半跏思惟像」と異なり、銅造に鍍金を施した金銅仏です。こちらもお釈迦様が瞑想にふけている姿を見事にとらえており、その微笑みは人々に安心感を与えます。仏教は、日本書紀によると6世紀に朝鮮から日本に伝わったといわれており、なめらかですっきりとした体の表現や線刻による波紋状の衣の襞などといった特徴は飛鳥時代の日本の金銅仏にも継承される特徴です。「韓国国宝78号 半跏思惟像」を鑑賞された後、「中宮寺門跡所蔵 国宝 半跏思惟像」を見比べると、その特徴がどのように伝わっていったのか、感じ取ることができます。
瞑想中に微笑みを浮かべた表情やなめらかな体の表現等、半跏思惟という名作を生む姿勢を、日韓の両仏像を比較ながら観賞してみてはいかがでしょうか。両半跏思惟像のその微笑みから感じられる温かみは、日本人だけでなく日韓両国の人々に平和と安らぎを与えるものになることを願っています。
展示概要:https://home.ueno.kokosil.net/ja/archives/5999
公式HP: http://hankashiyui2016.jp/