2016年9月13日(火)から12月4日(日)まで、国立科学博物館にて「日本の自然を世界に開いたシーボルト」が開催されます。
2016年はシーボルト(1796-1866)の没後150年に当たります。この記念すべき年に改めて、シーボルト及びその関係者が実際に収集した自然史の標本、シーボルト標本によって学名が与えられた生物等を展示することで、日本の自然を世界に紹介したシーボルトの貢献について紹介します。この機会にぜひご覧ください。
シーボルトの生い立ちと時代背景
シーボルトは、1796年に現在のドイツで生まれました。オランダの医師として来日し、鎖国のため外国からは未知の国に等しかった日本を広く世界に紹介しました。
シーボルトの植物コレクション
シーボルトは植物にとくに強い関心がありました。研究の基礎となる標本を精力的に集めました。
また、鑑賞などに利用できる資源性の高い植物の発掘にも努めています。
植物学者としてのシーボルト
シーボルトはコレクターとして植物を採集しただけでなく、研究も行いました。ドイツの植物学者ツッカリーニと共同でフロラ・ヤポニカなどの著書や論文も書きました。
日本の植物でヨーロッパの庭を変えたシーボルト
シーボルトは多様性に乏しいヨーロッパの庭園を日本の植物で変革しようと試みました。そのために多くの植物を生きた状態で持ち帰りました。
ユリやアジサイの美しさに当時の人々は驚嘆しました。
シーボルトの鉱物コレクション
シーボルトは、植物や動物と同じように、地質を観察し鉱物の標本を集めて、日本鉱物誌を書くつもりでした。鉱物の仕事を任された助手のビュルガーは鉱物誌の原稿を準備していましたが、鉱物誌は出版されませんでした。
残された標本と資料から、シーボルトが日本の地質や鉱物をどのように理解して鉱物誌を書こうとしていたかがわかります。
動物学におけるシーボルトの素養
動物学の分野では、シーボルトは日本に生息する様々な分類群の動物の標本を収集し、ヨーロッパに紹介した人物として認識されています。
彼が収集した動物は哺乳類や鳥類といった馴染みのあるものにとどまらず、海産無脊椎動物や多種多様な昆虫類、さらにはミミズのようなものにまで及びます。
シーボルト動物コレクションの行方
シーボルトの動物コレクションは主にライデン自然史博物館のテミンクとシュレーゲルとデ・ハーンにより調査され、ファウナ・ヤポニカ全5編としてまとめられています。
日本に生息する動物種の網羅的リストが初めてヨーロッパに紹介されることになったわけです。またこれらとは別途、トンボ類などの昆虫に関しては、ライデン大学からベルギーのセリー・ロンシャンへと渡り、記載が行われました。
未完に終わったファウナ・ヤポニカ
シーボルトの動物コレクションのうち、昆虫類や甲殻類以外の海生無脊推動物に関してはファウナ・ヤポニカでの記述がありません。ところがこれらについてもライデンや外部の研究者によって調査がなされました。
ライデン自然史博物館には明らかにファウナ・ヤポニカのために用意されたと思われる図版および草稿が残されています。未完の第六編が予定されていたのかもしれません。
ニホンオオカミ 画像提供:国立科学博物館
アジサイ(オタクサ)のおし葉標本 画像提供:東京大学総合研究博物館
【開催概要】
展覧会名 | 日本の自然を世界に開いたシーボルト |
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開催期間 | 平成28年9月13日(火)~ 平成28年12月4日(日) |
開館時間 | 午前9時~午後5時(金・土曜日は午後8時まで) ※入館は各閉館時刻の30分前まで |
休 館 日 | 毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は翌火曜日) ※ただし9月26日(月)は開館 |
入 館 料 | 一般・大学生:620円(団体310円)高校生以下および65歳以上無料 ※団体は20名以上 |
開催場所 | 国立科学博物館(東京・上野公園) 日本館1階 企画展示室 〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20 |
主 催 | 国立科学博物館 |
後 援 | 朝日新聞社 |
学術協力 | 東京大学総合研究博物館、首都大学東京 牧野標本館、 ナチュラリス生物多様性センター(オランダ)、 ルール大学ボーフム 東アジア学部(ドイツ)、 ブランデンシュタイン・ツェッペリン家アーカイブ(ドイツ) |
一般からの お問合せ先 |
03-5777-8600(ハローダイヤル) |
公式サイト | http://www.kahaku.go.jp/ |