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【上野の森美術館】「ゴッホ展」報道発表会レポート

上野の森美術館で、2019年10月11日(金)~2020年1月13日(月・祝)の期間、
「ゴッホ展」
が開催されます。本展の報道発表会が開催されましたので、今回はその様子をお届けします。

 

開催概要

強烈な色彩で人々を魅了し続ける画家、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853ー90)。27歳で画家として生きる決意をしたゴッホが、後に唯一無二の表現を獲得できるまでに至ったのは、ふたつの出会いがあったからこそでした。

まずゴッホは農村生活を静謐な筆致で描いたハーグ派から学び、画家としての基礎を確立させました。これまでファン・ゴッホとの関わりの中で焦点を当てられる機会が少なかったハーグ派ですが、ゴッホの画業の中でとても重要な役割を果たしたのです。その後ゴッホはパリに出て印象派と出会い、躍動する色彩の虜になりました。

本展では、約40点のゴッホ作品に加え、マウフェやセザンヌなどハーグ派と印象派を代表する巨匠たちの作品約30点や、ゴッホが手紙の中で語った言葉を交えながら、独自の画風にたどり着くまでの過程を掘り下げて紹介します。

 

展覧会のみどころ

 

1.



《糸杉》《麦畑》《薔薇》-ゴッホのエッセンスを凝縮した構成

フィンセント・ファン・ゴッホ 《オリーヴを摘む人々》 1889年12月 油彩・カンヴァス 73.3×92.2cm クレラー=ミュラー美術館
© Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, The Netherlands

今回、7年ぶりの来日となる《糸杉》をはじめ、《麦畑》《オリーヴを摘む人々》など、晩年のゴッホが重要なテーマとして挑み続けたモチーフの作品が一堂に会します。また、彼が手がけた数多くの静物画の中でも「最も美しい作品のひとつ」と称される名作《薔薇》も登場。

 

2.

10か国・地域、25ヶ所-世界中から重要な作品が集結

フィンセント・ファン・ゴッホ 《パリの屋根》 1886年春 油彩・カンヴァス 45.6×38.5cm 
アイルランド・ナショナル・ギャラリー © National Gallery of Ireland

本展ではゴッホとハーグ派の重要なコレクションを所蔵するオランダ・ハーグ美術館館長の監修のもと、イスラエルやスイス、モナコ公国など10か国・地域、25ヶ所にわたる所蔵先からの借用を実現。《パリの屋根》など、これまで日本で紹介される機会が少なかった貴重な作品を鑑賞できます。

 

ハーグ派とは?印象派とは?

アントン・マウフェ 《4頭の牽引馬》 制作年不詳 油彩・板 19.5×32cm 
ハーグ美術館 © Kunstmuseum Den Haag

ハーグ派とは、1870年から1900年頃にかけ、オランダ南西部の都市ハーグを中心に活動した画家たちの総称。屋外での自然観察をもとに田園風景や農民の生活などを描きました。風車や運河といったオランダならではの風景を、柔らかい光やくすんだ色調で表現したことから「灰色派」と呼ばれました。

 

ポール・セザンヌ 《オワーズ河岸の風景》 1873-74年 油彩・カンヴァス 73.5×93.0cm 
モナコ王宮コレクション © Reprod. G. Moufflet/Archives du Palais de Monaco

印象派とは、19世紀後半にフランスで興った絵画運動のこと。日常的な主題から受けた印象を直感的に表現し、絵画に大きな変革をもたらしました。主に屋外で制作した彼らは、太陽光とともに移ろう一瞬の情景を捉えようと素早い筆致で描き、輝く色彩を再現するため絵の具を混ぜずに、原色のまま画面に並置する技法などを生み出しました。

 

展示作品紹介

本展における展示作品の中から一部をご紹介します。

 

フィンセント・ファン・ゴッホ 《ジャガイモを食べる人々》
1885年4-5月 ハーグ美術館

© P. & N. de Boer Foundation

ゴッホ自信の作。でも周りの評判はあまり・・・

長らくデッサンの練習を重ねてきたゴッホが初めて「売り物になる」と自負した油彩画。わずかな光の下のつつましやかな食事の様子を描くため、習作を含めひと冬かけて仕上げたそうです。ゴッホは作品についてより正確に知らせるために複製原画を家族や友人に送りましたが、返ってきた反応はあまり芳しいものではなかったそう。

 

フィンセント・ファン・ゴッホ 《麦畑》
1888年6月 P.&N.デ・ブール財団

© P. & N. de Boer Foundation

ゴッホを癒す、プロヴァンスの空気。太陽。

ゴッホは主題を定めると視点や色の組み合わせを変えて繰り返し描きましたが、1888年の初夏には収穫期の小麦畑を少なくとも10点の油彩画に描きました。本作では画面のおよそ3分の2を小麦畑が占めており、豊かに実った植物が放つ強烈な黄色を捉えようとしていたことがわかります。空の水色と薄紫色との対比が大変美しく、プロヴァンスの澄み渡った空気が香ってくるようです。

 

フィンセント・ファン・ゴッホ 《糸杉》
1889年6月 メトロポリタン美術館

Image copyright © The Metropolitan Museum of Art.

疲れ果てた精神が垣間見た、美しき糸杉。

墓場に植えられることから死の象徴とされる糸杉。しかしゴッホはその均整のとれた形状と捉えがたい黒の色調に魅了され、《ひまわり》に匹敵する連作とすべく、計3点の糸杉に取り組みました。本作はサン=レミ精神療養所に入院した直後に描かれたもの。ゴッホは素描を用意して制作に臨みましたが、背景はためらうことのない力強い筆致で一気に描き上げられています。

 

開催概要

展覧会名
「ゴッホ展
会 期 2019年10月11日(金)~2020年1月13日(月・祝)
9:30〜17:00(金曜、土曜は20:00まで開館)
*最終入場はそれぞれ閉館30分前まで
休館日 12月31日(火)、1月1日(水)
会場 上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)
公式サイト http://www.ueno-mori.org/exhibitions/article.cgi?id=913189

 

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