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【東京都美術館】企画展「杉戸洋 とんぼ と のりしろ」報道内覧会レポート

2017年7月25日(火)~10月9日(月・祝)まで東京都美術館で開催される「杉戸洋 とんぼ と のりしろ」の報道内覧会に参加しましたので、その内容についてレポートいたします。

 

小さな家、空、舟などのシンプルなモチーフ。さまざまな色と形の素材が、時に繊細に、時にリズミカルに並べられ、見る人の心の内に不思議な感情を喚起します。抽象と具象の間を歩む現代作家、杉戸洋。その作品は国内外で多くの人々を魅了し、その独自の世界に誘ってきました。今回、東京にある美術館では初の個展となる「杉戸洋 とんぼ と のりしろ」ですが、東京都美術館にとっても、現代作家をテーマとした展覧会は2013年の「福田美蘭展」以来の開催となり、注目が集まっています。

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会場となる東京都美術館のギャラリーは、地下に広がる吹き抜けの空間となっており、建築家・前川國男の手による独特の質感と佇まいが印象的です。杉戸氏はこの空間に着想を得て、深みのある釉薬に彩られた常滑のタイルによる最新作を作り上げました。建築や空間構成の緻密なスタディをおこない、「作品が存在する場の空気を整えること」を大切にするという杉戸氏。まさに、この空間でしか味わうことができない出会いに満ちた展覧会といえるでしょう。


それでは、展示風景をご覧ください。

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足を踏み入れると、現実のような、非現実のような、不思議な空間がそこに広がっていました。かつて彫塑室と呼ばれ、3方向の窓から光が射し込んでいた吹き抜けの空間。さまざまな絵画、ドローイングなどが並べられ、会場は色彩と光で満たされています。

 

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淡いパステルの色で描かれる、家や車、星空などのモチーフ。どこか子供が好んで描きそうな絵画に、矩形や三角形などの幾何学的な図形が重なり合い、重層的な構図が現れます。

杉戸さんは、父親の仕事の関係で4歳から14歳まで渡米、家庭内でも英語を話していたため、帰国後はうまく日本語で自分を表現することができずに悩みました。そうした背景もあり、杉戸さんは絵画を知覚表現の手段として選んだのだと語っています。

 

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パンチカーペットやねじ、発泡スチロールといったありふれた素材によって構成された作品たち。杉戸さんの空間への感性が、微細なものから宇宙的なものへと、私たちの想像力を自由自在に往復させます。

「夢は、古くて落ち着いた喫茶店に一枚、自分の絵を飾ること」と話してくれた杉戸さん。この空間は、彼のそうしたパーソナルな夢や理想の反映でもあるのでしょうか。

 

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この東京都美術館地下のギャラリーから着想したもので、愛知県常滑市にある「水野製陶園」のタイルを用いた初の作品。幅約15メートル、高さ約4メートルを超える大作で、深みのある釉薬のかかった色彩豊かなタイルがこの空間を新たな色と光で満たします。二ヶ月間は「頭の中が真っ白になり、タイルのことしか考えられない」ほど没頭し、完成させたという本作、ぜひ会場でご覧いただきたく思います。


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「展示室を自分のリビングルームに見立て、この空間そのものを綺麗に見せたいと思った。展示室は現状復帰が基本で壁や床材を変えたりはできない、いわば賃貸の部屋のようなもの。そういった制約も含めて楽しんだ」
本展の開催にあたって、杉戸さんはそのように語っています。
内覧会では杉戸さん自ら制作時の苦労などを話してくださいましたが、飾り気なく語るその姿は自然体そのもの。どこか、周りを囲む人々と空間に受け入れられ、杉戸さんもそれを喜んでいるように感じられました。

 

会期は2017年7月25日(火)から、10月9日(月・祝)まで。
「ここって、こんな場所だったんだ」
空間、そして日常への眼差しを新たに開く杉戸洋の世界。ぜひこの機会にご覧になってみてはいかがでしょうか。


開催概要はこちら:
https://home.ueno.kokosil.net/ja/archives/15032


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