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東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画特別展「マルセル・デュシャンと日本美術」内覧会レポート

東京国立博物館 平成館 特別展示室第1・2室では、2018年10月2日(火)~12月9日(日)の期間、東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画特別展「マルセル・デュシャンと日本美術」を開催します。
 
今回本展の開催に先立ち行われた内覧会に出席しましたので、その様子をお伝えします。
 


マルセル・デュシャン(フランス・1887~1968)は、伝統的な西洋文化の価値観を大きく揺るがし、20世紀の美術に衝撃的な影響を与えた作家です。
 
アメリカ・ペンシルバニア州のフィラデルフィア美術館は、デュシャンの絵画、彫刻、版画など200件以上の作品を所蔵しています。本展は、フィラデルフィア美術館以外でデュシャンのコレクションがまとまった形で公開される初の機会であり、さらにそれを日本の美術品と比べて見ることのできる大変貴重な機会となります。
 
本展は2部構成で、第1部ではフィラデルフィア美術館のデュシャン・コレクションのなかから、時系列を追ってデュシャンの作品や関連資料・写真等計152件を紹介します。第2部では東京国立博物館所蔵の国宝・重要文化財を含む日本美術作品24件を紹介し、日本の美のなかに見られるデュシャンの創作活動との共通点を提示します。
 

第1部 デュシャン 人と作品



 
第1章 画家としてのデュシャン
 
デュシャンが画家としてのスタートを切ったのは15歳の時でした。それから10年間、様々な表現様式に取り組みます。一人の画家の作風が大きく変化する様子を追うことができ、大変興味深く感じました。油彩画だけではなく、関連写真も展示してあるので、デュシャンの実生活と作品とのつながりが垣間見えます。
 

 

 
第2章 「芸術」でないような作品を作ることができようか
 
デュシャンは絵画以外での芸術表現を模索するようになり、25歳で通常の絵画制作を放棄します。ここからデュシャンの本領発揮です。一点物の芸術作品にこそ価値がある、としていた西洋美術界に挑戦するため、既製(レディメイド)の大量生産されている工業品を持ち込んで、それをアートへと昇華させるという試みを始めるのです。
 

 

 
ただの小便器にサインをしただけで作品として展示されている《泉》などを見ていると、アートってなんだろう?どこからがアートなんだろう?と考えこまされてしまいます。
 
第3章 ローズ・セラヴィ
 
ローズ・セラヴィとは1920年代にデュシャンが自らの分身として考案した女性人格の名前です。この人格のもと、錯視や言葉遊びなどを扱った作品を発表します。デュシャンがローズ・セラヴィに扮装した姿は写真家マン・レイ(1890 -1976)によって撮影されており、それらの写真は本展でも目にすることができます。
 

 
デュシャンが自身の作品をミニチュア大に複製したものをトランクに詰めて展示するという、「持ち運び可能な美術館」。本展に展示されている作品の精巧なコピーを目にすることが出来ます。
 

 
 
第4章 《遺作》 欲望の女
 
自国フランスの閉鎖的な芸術界に不満を持っていたデュシャンは、後年ニューヨークに定住し、1955年にはアメリカに帰化します。フランスというと自由といった印象を持っていたので意外に感じました。
 
アメリカで1946年から秘密裏に《遺作》の制作を開始し、20年以上の年月をかけて完成させました。《遺作》は様々な素材で、異なる手法を用いて手掛けられており、まさにジャンルにとらわれることなく表現方法を模索し続けたデュシャンの集大成といえる大作です。
 
デュシャン本人の希望通り、現在《遺作》はフィラデルフィア美術館に常設されています。
 
本展では映像で《遺作》を紹介しており、アイデアノートを始めとした関連資料の展示によって制作のプロセスを垣間見ることができます。
 
 

第2部 デュシャンの向こうに日本がみえる。

 
第2部は5章で構成されています。デュシャンの作品を堪能した後、「レディメイド」や「オリジナルとコピー」といった観点から日本美術を眺めてみると、新たな美を見出すことができるかもしれません。
 

 

 

 


東京国立博物館 平成館では、同期間(2018年10月2日~12月9日)に特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」を開催しています。
 

展覧会概要

 

展覧会名 東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画特別展「マルセル・デュシャンと日本美術」

会 期 2018年10月2日(火)~12月9日(日)
会場 東京国立博物館 平成館 特別展示室第1・2室
(台東区上野公園13-9)
開館時間 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、金曜・土曜、10月31日(水)、11月1日(木)は21:00まで開館)

休館日 月曜日(ただし10月8日(月・祝)は開館)、10月9日(火)

観覧料 一般1200円(900円)、大学生900円(600円)、高校生700円(400円)
※中学生以下無料
※()内は20名以上の団体料金  
※障がい者とその介護者一名は無料。入館の際に障がい者手帳などを要提示。 
※同時開催の特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」(2018年10月2日(火)~12月9日(日))は別途観覧料が必要です。
※特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」との2展セット観覧料金 一般2000円。2展セット券は、東京国立博物館正門チケット売場(窓口、開館日のみ、閉館の30分前まで)、展覧会公式サイト、ローソンチケット[Lコード:31493]、セブンチケットほかで販売。
※「東京・ミュージアムぐるっとパス」で、当日券一般1200円を1100円(100円割引)で購入できます。正門チケット売場(窓口)にて申し出てください。
※東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を700円(200円割引)で購入できます。正門チケット売場(窓口)にて、キャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証を提示して下さい。
※本展観覧券で、会期中観覧日当日1回に限り、総合文化展(平常展)も観覧できます。

TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)

展覧会公式サイト http://www.duchamp2018.jp/

 

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