東京都美術館では、2019年2月9日(土)~4月7日(日)の期間、「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」を開催します。
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先日、GINZA SIXで地下3階の観世能楽堂で行われた報道発表会に参加しましたので、その様子をお伝えします。
展覧会主旨
美術史家・辻惟雄氏の1970年の著作『奇想の系譜』。本書により紹介されたのは、従来の江戸時代の絵画史では傍流とされていた画家たちの、自由で斬新な発想で、非日常的な世界を描いた作品の数々でした。
それから半世紀近く立った現在、それらの画家たちが現代に通じる革新性によって人気を集めています。
本展では、『奇想の系譜』で取り上げられた6名の画家(岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、歌川国芳)に加え、白隠慧鶴、鈴木其一を紹介します。
辻氏の語る『奇想の系譜』
「これまでの流派で縦割りにされた、平面的な紹介がなされていた江戸時代の絵画史には活性化が必要だと感じていました。洋画の空間性に匹敵するインパクトのある絵画を探したところ、これまでの日本美術の概念をひっくり返すような江戸時代の絵画の数々が見つかりました。それらを立体的にまとめたのが『奇想の系譜』です。本書を著したのが私が38歳のとき。そして現在、86歳になりこうして自著をもとにした展覧会が開かれることになり、期待に胸を膨らませています。」
見どころ
2016年に開催された展覧会が記憶に新しい伊藤若冲の作品。若冲が40才はじめのころに手掛けたもの。あじさいの部分を近くで見てみると、輪郭線を使用していないことがわかります。ミリ単位のアップに耐えうるクオリティーです。
辻氏が『奇想の系譜』を執筆するきっかけとなった作品。右端の人物は、曽我蕭白の自画像とも考えられています。
一度見たら忘れられないインパクトのある、白隠慧鶴の作品。大胆な表現が特徴で、18世紀京都の画壇に衝撃を与えました。慧鶴は80歳を超えて、縦2m近い本作を仕上げました。実物は迫力もひとしおでしょう。
新出作品お披露目
今回、本展にて初公開となる2作品が展示されました。いずれも本展に向けた調査において見出された作品です。
猿の滑稽な表情に注目の長沢芦雪《猿猴弄柿図》と、30歳代の最初期作と思われる伊藤若冲《梔子雄鶏図》です。
左 長沢芦雪《猿猴弄柿図》絹本着色 一幅 104.0×37.7cm 江戸時代中期(18世紀)個人蔵
右 伊藤若冲《梔子雄鶏図》絹本着色 一幅 85.8×43.1cm 江戸時代中期(18世紀)個人蔵
観世能楽堂の舞台で行われた今回の発表会では、多くの興味深い作品が紹介されて展覧会への期待が高まりました。
いよいよ2019年2月、「江戸のアヴァンギャルド」と呼ばれる画家たちによる、奇想を凝らした作品群が東京都美術館に集合します。
ココシル上野では続報をお伝えしていきますので、お見逃しなく!
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展覧会概要
展覧会名 | 「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」 |
会期 | 2019年2月9日(土)~4月7日(日) |
会場 | 東京都美術館 企画展示室 |
休室日 | 月曜日、2月12日(火) ※ただし、2月11日(月・祝)、4月1日(月)は開室 |
開室時間 | 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで) |
夜間開室 | 金曜日、3月23日(土)、30日(土)、4月6日(土)は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで) |
観覧料 |
当日券 | 一般 1,600円 / 大学生・専門学校生 1,300円 / 高校生 800円 / 65歳以上 1,000円 団体券 | 一般 1,400円 / 大学生・専門学校生 1,100円 / 高校生 600円 / 65歳以上 800円 ※団体割引の対象は20名以上 ※中学生以下は無料 ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料 ※2月20日(水)、3月20日(水)はシルバーデーにより65歳以上の方は無料(要証明)。そのため混雑が予想されます。 ※いずれも証明できるものを持参ください |
特設WEBサイト | https://kisou2019.jp |
問合せ先 | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |