【9/17〜10/14】 副島しのぶ 個展「私の横たわる内臓:循環するhub」が開催!
JR上野駅構内のギャラリー「CREATIVE HUB UENO “es”」では、東京藝術大学の各科より推薦されたアーティストの展示を開催しています。
この度、2024年度後半の展示会のスケジュールをお知らせします。国内外の映画祭で受賞し作品を発表する立体アニメーション映画監督・副島しのぶ氏や、CREATIVE HUB UENO “es”のロゴデザインを担当したグラフィックデザイナーのおおつきしゅうと氏、リサーチとして始めた「実測スケッチ」がSNSで話題となり、書籍の出版など多岐にわたり活躍する遠藤慧氏らがラインナップ。後半に向けてますます注目の展示が続きます。
東京藝術大学に在籍・卒業し、世界で活躍する注目の若手クリエーターの個展にぜひお越しください。
CREATIVE HUB UENO “es”
住所:東京都台東区上野7-1-1(上野駅浅草口付近)
開廊時間:11:00~19:00(最終入場18:45)
休廊:月曜定休(祝日の場合は翌日に振替)入場:無料
ウェブサイト:https://ueno-es.jp/
■展示スケジュール(2024年9月〜2025年3月)
※展示時期、展示内容は変更になる可能性がございます
■次回展示
副島しのぶ 個展「私の横たわる内臓:循環するhub」
会期:2024年9月17日(火)〜10月14日(月祝)
立体アニメーションの技法をもちいて短編映画や映像作品を制作する副島は、これまでに国際短編映画祭にて賞を受賞するなど国際的にも注目を集める若手立体アニメーション作家です。
本展では、最新作《私の横たわる内臓》(2024年、映像11分)の一部を元に、CREATIVE HUB UENO “es”に合わせて映像インスタレーションとして展開します。ギャラリー空間を臓器内部に見立て、東京のhubとも言える上野駅内で展示することで、都市と個との循環を試みます。
アーティストステートメント
私は、アニメーションを「死から生へと転換する動力」であるとし、米、肉、虫といった有機物と人形をアニメートすることで、内と外、生物と非生物、主体と客体、死と生、といった相反するもの同士の境界線を摩擦し、溶解させることを試みる。 あるいは、私たちの肉体と土地との混濁した関係を問い直すことはできないだろうかと試行錯誤する。
人形や有機物をアニメートする中で、時に互いに干渉し、あるいは汚れることによって、肉体の一部がある一方に移ることがある。相反するもの同士の摩擦は、まるで贈与関係のように、主体と客体、内と外といった異なるもの同士の境界を融和させていく。
私はこのような現象を「内と外の循環 Inside Out/Outside In Cycle」と呼んでいる。私たちは土から生まれた穀物を食べ、それを排泄して、排泄したものが土に戻りそこからまた穀物は生まれる…その内と外が循環するサイクルの中で生きている。
自分の内臓は他人の内臓になるかもしれない、あるいは他人の内臓は私の内臓になるのかもしれない。私は他者であり、他界が私である…。このようなマルチスピーシーズな考え方は、主体と他者との関係を捉え直す術にはならないだろうか。私は、アニメーションという動力と、伝統的な人形の機能を駆使し、これら境界線を融和する方法を模索している。今日の私たちには、対岸の他者と接続する術が必要なのではないだろうか。
推薦者コメント:
「代謝する人形」
ネパールやマレーシア等で、副島が自らの体験として獲得したアジアの宗教儀礼や伝承が息づく作品世界の中に、副島は本物の鳥の首、蛾の羽、鮭皮などの有機物をあえて投入する。副島の人形は人の形を与えられてはいるが、それは生命における膜に過ぎず、その膜内では、作品世界に投入されたありとあらゆるものが吸収され、消化され、化学変化が起こり続けている。
東京藝術大学大学院映像研究科 教授 岡本美津子
プロフィール
副島しのぶ(そえじま しのぶ)
立体アニメーションの技法を使った短編映画や映像、写真、立体作品を制作。アニメーションを「死から生へと転換する動力」とし、人形身体や経年劣化の伴う有機物を使うことで、死や影といった日常の中の異界を探ります。主な受賞歴に第 68 回オーバーハウゼン国際短編映画祭 エキュメニカル審査員によるスペシャルメンション賞、第 22 回 文化庁メディア芸術祭 審査員推薦作品、アートアワードトーキョー丸の内 2018 木村絵理子賞など、国内外の映画祭で受賞、展覧会で発表しています。現在、東京藝術大学大学院映像研究科映像メディア学専攻 博士後期課程に在籍。
WEB: http://www.shinobusoejima.com
■次回以降の展示
東京藝術大学芸術未来研究場アート×ビジネス領域 企画
会期:2024年10月25日(金)〜11月24日(日)
アート×ビジネス領域は、心豊かな活力ある社会の共創を目指し、産学官パートナーシップによるアートイノベーション創発と、それらを支える未来の人材育成を積極的に推進しています。本展では、東京藝術大学の学生が社会のなかで表現に取り組む場として、「散歩」をテーマに参加型のプロジェクトの実施を予定しています。
おおつきしゅうと 個展「ニューメランコリー(ポストシティボーイの臨界点)」
会期:2024年12月3日(火)〜2025年1月13日(月祝)*12/28〜1/5は冬季休業
紙からオンスクリーンへ移行した広告やロゴ、YouTubeのタイトル文字、snsのミーム、グローバル化の加速する街に氾濫する新たなサインやマークなど、現在の高度な情報社会に溢れる多様なイメージから、西洋文化への憧れによって形成されてきた都心の限界をリサーチし、再びグラフィックデザインとして還元します。
おおつきしゅうと SHUTOOTSUKI
グラフィックデザイナー/アートディレクター。1996年東京生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程デザイン専攻視覚・伝達研究室修了。高度情報化社会における批評的なグラフィックデザインのあり方をテーマにシンボル、VIシステム、広告等のアートディレクション/デザインを手がける。自主出版社non-sensuから書体、雑誌を刊行。
アーツプロジェクト実習 企画
会期:2025年1月21日(火)〜2月16日(日)
東京藝術大学では、学部生および大学院生を対象に社会において芸術活動を行なっていく力を養うことを目的に「東京藝大アーツプロジェクト実習」を開設しています。学生がプロジェクトチームを組み、主体的に企画・制作を行い展覧会を開催する実践的授業です。 “es”の空間を通じて、時代を反映するメッセージを組み立てていきます。
遠藤慧 個展「空間を解剖する 実測スケッチの世界(仮)」
会期:2025年2月25日(火)〜3月23日(日)
建築物のみならず、室内の家具やゴミ箱などの小物、食べ物にいたるまで、空間のリサーチとしてさまざまなものを測量し、「実測スケッチ」を制作する遠藤慧による個展。これまで描き溜めてきたスケッチをCREATIVE HUB UENO “es”の空間に合わせて展示します。その場を構成する要素をつぶさに拾い上げ、建築的な視点から空間を捉え直します。
遠藤慧(えんどう けい)
2017年東京藝術⼤学⼤学院美術研究科建築専攻修了。⼀級建築⼠、カラーデザイナー。建築設計事務所RFAを経て、環境⾊彩デザイン事務所クリマ勤務。東京都⽴⼤学⾮常勤講師。デザインのリサーチとして始めた「実測スケッチ」がSNSで⼈気を博す。著書に『東京ホテル図鑑 実測⽔彩スケッチ集』(学芸出版社)。講談社の雑誌『with』にて「実測スケッチで嗜む名作建築」、BUNGA NETにて「⾼架下建築図鑑」連載中。
CREATIVE HUB UENO “es”とは
東京藝大とJR東日本の包括連携協定の第一弾として、上野駅の交番跡地をリノベーションし誕生したギャラリーです。
東京藝大の学生・卒業生の若手アーティストの作品を展示し、時代を映し出す芸術作品に触れ合う機会をつくります。また、上野駅全体を美術館に見立て、駅構内に点在するアート作品等をご案内し、多様な文化交流の場を創出していきます。
ギャラリー名の“es”(エス)とは、心理学用語で「無意識の領域」を指し、多様な欲望やエネルギーを内在し、小さくとも無限の表現領域を体現できるスペースを目指して命名しました。