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【東京国立博物館】日タイ修好130周年記念特別展『タイ~仏の国の輝き~』内覧会レポート

2017年7月4日(火)から8月27日(日)まで、東京国立博物館にて『タイ~仏の国の輝き~』が開催されます。7月3日に報道内覧会が開催されましたので、展示の様子をお伝えいたします。

 

世界有数の仏教国、タイ。
はるか昔、インドからスリランカを経て伝えられた仏教の精神はこの地に根付き、古来から人々の暮らしに寄り添ってきました。歴代の国王もまた、仏法をもって国を治めることを理想とし、これを庇護したため、長い歴史の中で多様な仏教文化が花開いたのです。

寺院で祈りを捧げる人。黄衣の僧侶に供物を捧げる人。経済発展の進んだ現在でも、敬虔に祈りを捧げる庶民の姿は、日常風景としてそこにあります。

 

2017年は、日タイ修好130周年の節目の年を迎えます。仏教を尊ぶこと、農業を国の基盤とすることなど、日本とタイには多くの共通点があります。『タイ~仏の国の輝き~』は、長年にわたる友好関係を祝し、両国が総力を結集して開催する展覧会です。タイの門外不出の名宝と選りすぐりの仏教美術が一堂に集う、大変貴重な機会となります。


それでは、展示風景をご紹介します。

 

第1章 タイ前夜 古代の仏教世界

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会場入り口におわしますのは、「ナーガ上の仏陀坐像」。ナーガとは、水を象徴する蛇(竜)の神のこと。悟りを得た仏陀が瞑想をする間、竜王ムチリンダが傘となり、風雨から仏陀を守ったという仏伝に基づいており、仏陀の精悍な表情と細身の体躯が印象的です。日本ではほとんど見ない題材ですが、東南アジアでは大変好まれたテーマだということです。
日本の仏教美術との違いを象徴するような作品で、興味深いですね。

 

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古代のタイには、非常に多様な仏教世界が存在していました。モン族の国ドヴァーラヴァティーでは出家と戒律を重んじる大乗仏教、マレー半島のシュリーヴィジャヤの勢力ではインド後期密教の影響を受けた大乗仏教やヒンドゥー教など、古代東南アジアの「海の道」は、文物のみならず、さまざまな宗教が往来する交易路でもあったのです。

第1章では、13世紀に芽吹くタイ文化の基盤となる、古代の多様な仏教世界を紹介しています。

 

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チャオプラヤー川流域のドヴァーラヴァティーで大量に出土した、石造りの「法輪」。法輪とは、「車輪が転がるように仏陀の教えが広まることを意味する」もので、仏法の象徴です。車輪本体から台座まで、蓮弁や葉などの美しい植物文様が施されています。

 

第2章 スコータイ 幸福の生まれ出づる国

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13世紀は「タイ族沸騰の時代」と呼ばれます。上座仏教が深く浸透して固有の文字や文学が生み出され、国王には仏教の擁護者であることが求められるようになりました。本章では、タイ中北部に興ったスコータイに焦点を当て、この地に勃興した仏教美術の名品を紹介しています。

 

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優雅に、柔らかに歩みを進める「仏陀遊行像」。これも日本では見られない造形です。仏陀が歩いて説法する様子であるとも、天上の母に教えを説いて帰還した瞬間であるともいわれます。

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右踵はふわりと浮いています。まるで体重を感じさせないような軽やかさ、しなやかさが印象的。蓮の葉の上でも歩けそうです。

 

第3章 アユタヤー 輝ける交易の都

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目も眩むほどの黄金の輝き。優れた立地条件に恵まれたアユタヤ王朝は、外国との交易によって莫大な富を蓄え、400年もの長きにわたり繁栄しました。本章では、ワット・ラーチャブーラナの仏塔から発掘された、当時の栄華がしのばれる金製品を中心に展示しています。

 

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日本の「三種の神器」ならぬ、タイの「五種の神器」。団扇や払子、杖など、王権の正統性をあらわすレガリアです。5点からなる本品は奉納用のミニチュアですが、その作りは細部に至るまで精巧であり、大変貴重なものです。この機会を逃すと、日本でもう見ることはできないかも?

 

第4章 シェム 日本人の見た南方の夢

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シャムとは、江戸時代から知られるタイの呼称です。日本とシャムの間では、15世紀から琉球王国を介して交流が始まっていましたが、鎖国時代もシャムの船は「唐船」として長崎に入港し、アユタヤーに集まった産品を日本に運んでいました。

本章では日本とタイの交易史に焦点を当て、当時の書簡や図巻など、貴重な資料を数多く展観しています。

 

第5章 ラタナコーシン インドラ神の宝蔵

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会場でまばゆいばかりの光輝を放つ大扉。バンコクの中心部に位置する王室第一級寺院、ワット・スタットテープワラーラームの正面を飾っていた両開きの扉です。1959年の火災で(向かって)左面は大きな焼損を受けましたが、住友財団からの支援を受け、修復が続けられてきました。

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ラタナコーシンのラーマ2世が自ら鑿を振るって制作されたとされる彫刻。その精巧さに目を奪われます。王はこの扉を唯一のものとするため、使用した道具を全て川に捨てさせたという逸話が残っています。

 

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タイなのに日本刀?
戦国時代の終焉により仕えるべき主君を失った多くの武士は浪人となり、新たな活躍を求めてタイに渡来流入する者もいました。かの山田長政をはじめ多くの武士が重用され、日本刀もまた、タイにおいて特別な地位を占めるに至ったのです。

これは木胎にニエロ(黒金)を施した銀板を巻きつけてつくられた「日本式刀剣」。拵えはタイ製ですが、刀身は日本製の打刀を加工して使用しています。


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「微笑みの国」の名宝が、この夏上野にやってくる。

『タイ~仏の国の輝き~』は、長い歴史の中で仏教がタイ文化の形成に果たした役割をひもとく試みです。タイ国外で開催されるタイ美術の展覧会としても、最大級の規模を誇ります。

 

会期は2017年7月4日(火)から8月27日(日)まで。
タイ仏教美術の至高の名品を、ぜひこの機会にご覧ください。

 

【おまけ】

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会場には、自分の「曜日仏」を知ることができるコーナーも!タイでは自分の生まれた「曜日」の仏さまを拝むという風習があるため、みんな自分の「曜日仏」を知っているのが普通です。

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生年月日を入力。これで誕生曜日がわかります。

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筆者は金曜日でした。金曜日の仏さまは「プラ・プッタループパーンラムプーン」。覚えられない。ぜひ、会場でチェックしてみてください。


開催概要はこちら:
https://home.ueno.kokosil.net/ja/archives/15084


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