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オランダ絵画黄金時代の巨匠ヨハネス・フェルメール(1632-1675)。技巧を凝らした作風や、現存作がわずか35点ともいわれる希少性もあり、国内外で不動の人気を誇っています。
上野の森美術館にて2018年10月5日(金)~2019年2月3日(日)の期間開催されている「フェルメール展」は、彼の作品が9点来日するという、日本美術展史上最大のフェルメール展として大きな話題を呼んでいます(一部展示替えあり)。
開催に先立ち行われたプレス内覧会に参加してきましたので、その様子をお伝えいたします。
音声ガイド&小冊子無料提供
本展では入場者全員に無料で音声ガイドが提供されます。ガイドを務めるのは、本展のナビゲーターでもある女優の石原さとみさん。柔らかい声で、わたしたちを17世紀オランダ絵画の世界へと誘います。
また、こちらの小冊子も無料配布されますが、本展の展示作品全49点の解説が収録されています。
じっくりと絵画の背景を理解しながらの鑑賞が叶います。
17世紀オランダ絵画の傑作がずらり
本展は6章で構成されており、1章~5章はフェルメールと同時代のオランダの画家による絵画がテーマごとに展示されています。
静粛な宗教画から当時のオランダの市井の人々の日常を捕らえた風俗画まで、幅広いジャンルの作品が揃います。テーマはそれぞれですが、どの作品も対象物を細密に描き出しており、見入ってしまいます。
こちらに描かれているのは実在する建造物ではないそうですが、絵の前に立つと奥へ奥へと引き込まれていきそうです。
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エマニュエル・デ・ウィッテ《ゴシック様式のプロテスタントの教会》1680-1685年頃 油彩・カンヴァス アムステルダム国立美術館
写真左の《本を読む老女》は老女の開いている本のページにも細かく文字が書き込まれており、内容を読み取ることさえできます。
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左 ヘラルト・ダウ《本を読む老女》1631-1632頃 油彩・板 アムステルダム国立美術館、右 ユーディト・レイステル《陽気な酒飲み》1629年 油彩・カンヴァス アムステルダム国立美術館
これら2作品は対となっています。一方の作品で男性が書いた手紙を、もう一方の作品で女性が読んでいます。
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左 ハブリエル・メツー《手紙を書く男》、右《手紙を読む女》 ともに1664-1666年頃 油彩・板 アイルランド・ナショナル・ギャラリー
ぱっと見は幸せな恋人たちのように思われますが、人物の仕草や作中画に込められた意味を知ると、2人の関係が浮かび上がってきます。音声ガイドや小冊子をたよりに読み解いてみてください。
また、本作はフェルメールの影響を顕著に表していることでも知られています。本作の背景となっている部屋や女性の黄色いジャケットなど、フェルメール作品との共通点を多々見出すことができます。
フェルメール・ルーム
第6章はフェルメールの作品のみが揃う「フェルメール・ルーム」で展開されています。
通常、欧米の主要美術館にそれぞれ所蔵されているフェルメールの作品を一度に観覧できるという贅沢な空間です。
なかでも注目作は、フェルメールの代表作のひとつとして知られる《牛乳を注ぐ女》。本展では至近距離でまじまじと鑑賞することができます。
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《牛乳を注ぐ女》1658-1660年頃 油彩・カンヴァス アムステルダム国立美術館 ・解説をする千足伸行氏(本展日本側監修、成城大学名誉教授・広島県立美術館館長)
中央に立つ人物に注目しがちですが、細部に目を向けてみると、点描によって光の粒子を表していたり、壁の汚れやシミをひとつひとつ描いていたりと、フェルメールが子細に対象を観察し、いかにそれをカンヴァスの上で表すかに心を砕いていたかを見て取ることができます。
こちらの《ワイングラス》は日本初公開。
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ヨハネス・フェルメール《ワイングラス》1661-1662年頃 油彩・カンヴァス ベルリン国立美術館
作中の壁にかかる絵やステンドグラスに描かれる女性像によって、男性による女性の誘惑を示唆し、女性に注意を促しているそう。
このように、この時代のオランダ絵画では、絵の中に道徳的な意味や訓戒を表したものが多々見られたそうです。
期間限定展示に注意
フェルメールの作品中、《赤い帽子の娘》は2018年10月5日~12月20日、《取り持ち女》は2019年1月9日~2月3日までの期間限定で展示されます。予めお目当ての作品をチェックして、お見逃しのないようご注意ください。
作中の暗い部屋のなかに差す光がまぶしいほどに感じられます。本作は他の作品と比較するとだいぶサイズが小さいのですが、赤とフェルメール・ブルーと呼ばれる青の色彩に目を引かれます。日本初公開。
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ヨハネス・フェルメール《赤い帽子の娘》1665-1666年頃 油彩・板 ワシントン・ナショナル・ギャラリー National Gallery of Art, Washington, Andrew W. Mellon Collection, 1937.1.53 ※12月20日(木)まで展示
本展開催1カ月前に追加出展が決まった本作は、フェルメールの初期作のひとつであり、初めて手掛けた風俗画です。日本初公開。
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ヨハネス・フェルメール《取り持ち女》 1656年 油彩・カンヴァス ドレスデン国立古典絵画館 bpk / Staatliche Kunstsammlungen Dresden / Herbert Boswank / distributed by AMF
おみやげにも注目
ドイツ生まれの玩具・プレイモービルが「牛乳をそそぐ女」を再現!
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プレイモービル 1,800円(税込)
ミュージアムショップには、他にも本展ならではのアイテムが多数揃っていますので、隅々までチェックしてみてください。
塗り絵ができる!ガラスびん『コロリアージュボトル』が、「フェルメール展」公式オリジナルグッズとして登場!
多数の観覧客の来館が予想されていますが、本展では待ち時間緩和のため日時指定入場制を導入しています。日本美術展史上最大のフェルメール展、ぜひ足を運んでみてください。
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